2013-05-05 涙の柴田大知、平地Ｇ１初制覇−ＮＨＫマイルＣ−

1996年、競馬学校騎手課程を卒業した10人は「花の12期生」と呼ばれ、
将来の競馬界を担っていくことが期待されていました。

その10人の中には
天才・福永洋一の息子・福永祐一騎手や、
解説者としてもお馴染みの細江純子さんや
牧原（現：増沢）由貴子騎手を始めとするＪＲＡ初の女性騎手３名、
おなじくＪＲＡ史上初となる双子騎手の柴田大知＆未崎と、
話題に事欠きませんでした。

彼等はデビュー前から注目を集め、
競馬サークルの中でも期待されている存在でした。

花の12期生は話題だけでなく実力でも話題を集め、
福永騎手はリーディングも獲得していますし、
後に世紀末覇王と呼ばれたテイエムオペラオーに
若くして騎乗していた和田竜二騎手など、
競馬史に残る活躍を見せています。

同期がＧ１を勝ち、レースにたくさん乗り、
徐々に競馬会でも中心的な立ち位置に移行していく中、
プライベートな問題が起因して勝利どころか
騎乗機会を減らしてしまい、
周囲から引退を勧められる程に落ち込んでしまった騎手がいました。

ＪＲＡ史上初の双子ジョッキーの兄・柴田大知騎手でした。

昨年、ＪＣダートを制した酒井学騎手が
全く勝てない年があった事が話題になりましたが、
柴田大知騎手も同様に06〜08年まで平地では１度も勝ち星を上げておらず、
09年にようやく１勝を上げるほどまでに落ち込んでいました。

その間、障害競走に騎乗するなど雌伏の時がありましたが、
マイネル軍団の馬に騎乗するようになり、徐々に騎乗数も回復。

2011年中山グランドジャンプで
マイネルネオスに騎乗し、初めてＧ１制覇を経験。
更に昨年はコスモオオゾラに跨り、クラシック戦線をわかせました。

マイネル軍団が柴田大知騎手に依頼する馬質も徐々に上がり、
もう「マイネル軍団のエース」と言っても
過言ではない程の活躍ぶりは、もはやだれの目にも明らかです。

マイネルホウオウのＧ１勝利は、
マイネル軍団にとっても久しぶりの平地Ｇ１勝利となり、
柴田大知騎手も通算２００勝目となるメモリアルな勝利となりました。

多くの人に感動をもたらしたレースは
柴田大知騎手の同期・福永騎手のコパノリチャードが引っ張る展開。

その後ろに人気のエーシントップがいるなど、
早くなると思われていた展開はややゆったりした流れで進みます。

直線の坂を登りきるまでは先行勢有利かと思われていましたが、
ラスト１Ｆでレースが激戦になります。

早めに外に持ち出し、
馬場のいいところを通ってきたマイネルホウオウと、
６年ぶりのＧ１制覇を目指す田中勝春騎手のインパルスヒーロー、
そして藤沢厩舎のフラムドグロワールと３頭が叩き合う展開に。

藤沢厩舎も06年のダンスインザムード以来、Ｇ１に縁が無いですから、
ＮＨＫマイルＣの上位３頭は、ここ最近のＧ１では珍しい組み合わせに
なったといえるのではないでしょうか。

ゴールした後、
壮絶な叩き合いを制した柴田大知騎手は大きくガッツポーズ。

大粒の涙を流しながらスタンドに戻ってきた大知騎手に
多くの関係者が声をかけます。

そして涙・・・涙のインタビュー。

マイネルホウオウの勝利はファンだけでなく、
多くの方の胸に語りかける勝利だったと言えるでしょう。

柴田大知騎手の平地初Ｇ１は
12日のヴィクトリアマイルだと思っていたので、
１週早く彼のＧ１勝利を祝うことになるとは思いませんでした。

今度は、柴田大知騎手の２週連続Ｇ１勝利を祝う事を願っております。