「ゴールドシップは絶対ではない。」
いや、「ゴールドシップは強い。」
多くの方がこの葛藤の中で
「ゴールドシップは強い」という評価をしました。
単勝1.3倍。
圧倒的な人気の中で迎えたレースは
内枠に入ったサトノシュレンがレースを引っ張る展開に。
幸騎手は決意の大逃げ。
この大逃げが波乱の結果を巻き起こす
ゴールドシップにとっての第一の罠となります。
連対した2頭を見ていると、両馬とも中距離馬。
サトノシュレンのペースに動じない事が
勝利への第一条件となりました。
サトノシュレンの作ったペースは1000m59.3秒。
1コーナーで徐々にペースを落としリードを保ったまま
無向正面に突入し、更に大きくリードを広げます。
ゴールドシップも縦長の展開を気にし、
2コーナー前くらいから徐々にペースを上げています。
連対した2頭(フェノーメノ・トーセンラー)はまだ動きません。
折り合いとペース配分にだけ気をつけています。
2200mあたりからゴールドシップが本格的に動き始め、
この動きに乗じ、後方の各馬が動き始めます。
特にデスぺラードの浜中騎手やフォゲッタブルの和田騎手は
スタミナに自信のある馬に跨っていますから、
負かすつもりでゴールドシップを見ながら競馬をしていますし、
ジャガーメイルの戸崎騎手もまた然りです。
しかし連対した2頭はこの動きに動じず、レースを進めています。
「ゴールドシップの前にいないと勝てない」
「ペースは速いが、乗り馬に最適なペースを守ればいい」
というような雰囲気を漂わせたまま、3コーナー坂を下り始めた頃に、
岩田騎手のアドマイヤラクティ、蛯名騎手のフェノーメノ
武豊騎手のトーセンラーが仕掛け始めます。
この乗り方は中距離レースでの乗り方ではないかと
私は睨んでいるのですが、
サトノシュレンの作ったペースに惑わされ、
昨年のビートブラックの例があると思い込んでいる騎手達は、
ゴールドシップに同調して早めのスパートをし、
その無尽蔵なスタミナについていけず自滅。
このゴールドシップに動じず、
先行策を取りペースを守っているトップジョッキーの馬達が
上位に来ていることからも、
このような駆け引きがあったと推測できます。
つまりゴールドシップと同じ乗り方をした
騎手達の馬のスタミナが伴わず自滅し、
馬にとって最適なペースを守った騎手が
勝利への階段を駆け上がったと言えます。
しかし、その2つ目の罠は残り600m付近で起こっていました。
4コーナーで誰もがゴールドシップの進出に興奮し、
大歓声を上げる中、一人の騎手が勝負を賭けていました。
南関東のトップジョッキーで
先輩でもある内田騎手とゴールドシップにだけ照準を合わせ、
虎視眈々と勝つ機会を伺っていた
もう一人の南関トップジョッキー・戸崎圭太騎手です。
彼の存在がゴールドシップが敗北する2つ目の罠でした。
昨日私が馬スピ特報の中で書いた
「ゴールドシップを負かすには道中、前にいるかすぐそばを走るしかない。
勝てるとすれば3角〜4角〜直線で彼を閉じ込めてしまわなければならない。
そして、仕掛け遅れたゴールドシップよりも前にいて、ロングスパートをかける。」
という筋書き通りの騎乗を見せます。
動きだしたゴールドシップの外を走り4コーナーで
ジャガーメイルとトーセンラーで
ゴールドシップを挟む理想のフォーメーション形成。
直線に向いた所でゴールドシップに身体をぶつけながら
ゴールドシップの進路を塞ぎ、
戸崎騎手の思惑通りのロングスパートを仕掛けます。
が、しかし、戸崎騎手や私が狙っていたのはあくまで
3角〜4角〜直線というある意味での局地戦。
大局に影響を与えたのは、やはりサトノシュレンの作り出したペース。
そのペースに流されてしまったかどうかでしょう。
最初からサトノシュレンのペースに惑わされず、
自身のペースを堅持し、
坂下から徐々に進出するという「王道」の乗り方でレースを制したのは
江戸川が「中距離馬でこのレースでは不要」と決め打ちしていた
フェノーメノの蛯名騎手とトーセンラーの武豊騎手による
競馬学校同期のワンツーフィニッシュ。
この大ベテランを筆頭に
凱旋門賞ジョッキーが騎乗したレッドカドーが入線。
波乱の決着となりました。
やはり長距離レースは騎手の腕がモノを言いいます。
8着までに入着したのが、外国人騎手と地方出身騎手と天才。
そして結果的にレースを制したのは中央の大ベテラン。
騎手の差が如実に出たレース結果となり、
馬券を的中させるにも、局地的な部分だけでなく、
大局的な部分を考えなければならないという
長距離レースならではの天皇賞・春でした。
江戸川乱舞 今後の注目馬
・トウカイパラダイス
このメンバー相手で8着は立派。
サマー2000シリーズで会いたい。
・カポーティスター
やはり距離が長かった様子。
短縮して一変。