90年代初頭、
1頭のスプリンターが短距離界を席巻していました。
覚えている方も多いでしょう。
クラシック戦線で多数のスターホースを
抱えていたさくらコマースの持ち馬で、
スプリンターズSがG1昇格してから、
初めての連覇をしたサクラバクシンオーという名馬を。
20年以上の時を経た今も、
内国産馬の中で歴代最強スプリンターとして
名高いサクラバクシンオーは種牡馬としても、
ショウナンカンプやグランプリボスを輩出するなど活躍し、
2011年に亡くなるまで日本のスプリント界では
無二の存在感を誇っていました。
そのサクラバクシンオーが亡くなった2011年の秋、
京阪杯で初の重賞を制覇し、頭角を現したのが、
現:国内最強チャンピオン・ロードカナロアでした。
日本の短距離界のレベルは
最強と謳われたサクラバクシンオーが海外で走っていないので、
正確な事は言えませんが、長い年月を通じて、
世界で通用するレベルではなかったと言えるでしょう。
例外があるとすれば、
タイキシャトル・アグネスワールド・シーキングザパールという
90年代後半に活躍した外国産馬全盛の時代でしょう。
しかし、それらの時代を除いては
一貫して日本のスプリント界は世界から一歩遅れている状態でした。
しかも、
欧州の伝統スプリントG1を制した
タイキシャトルらはアメリカ生まれの外国産馬。
国内産のスプリント王者は
海外遠征しては惨敗を繰り返す歴史を長年辿っていました。
そう、2012年末に香港スプリント圧勝した
ロードカナロアまで雌伏の時を待たねばなりませんでした。
昨年は恋心をよせていた(?)カレンチャンから遅れる事3着。
世界を制したロードカナロアの実力が試される
今回の高松宮記念は単勝1.3倍。
左回り・坂などが不安視されていましたが、
私の見立てでは不安な点は一カ所もなく、
レース前の雰囲気も王者の風格漂う堂々としたもの。
まさに「世界を知っている馬」という雰囲気そのものでした。
しかし、その一点の曇りもないロードカナロアへの信頼感が
一瞬、揺らいだのはスタート直後、
岩田騎手もレース後に苦笑いしていましたが、
やや出負けしてしまったところを見て、焦りました。
が、しかし3コーナーから4コーナーにかけて堂々と
進出する具合を見て、一安心。
直線で詰まりそうな瞬間もありましたが、
前が開くと、徐々に伸び脚を見せ、
坂を登り終えたところで一気に加速。
逃げるハクサンムーンを残り1Fで捕まえて、
猛追する中京マイスター松山騎手のドリームバレンチノを
封じ込めて貫録の勝利。
しかも、推定上がりはドリームバレンチノよりも終始前にいながら、
0.1秒早い脚を使っていることからも、
見た目以上に「完勝」と呼べる内容だったのではないかと感じています。
負けてしまったドリームバレンチノは
残念ながら生まれた時代が悪かったと呪うしかありません。
ドリームバレンチノは
父:ロージズインメイ、母父マイネルラヴと
生粋のマイネル軍団の血統で、非サンデーサイレンスの馬。
日高の期待も大きい1頭だとは思いますが、
それ以上に非サンデーサイレンス、そして日高出身、
日本調教馬史上初・世界一を目指せる馬である
ロードカナロアの方が一枚上だったということでしょう。
岩田騎手は勝利騎手インタビューでロードカナロアは
今年の冬も香港遠征するような心強い事を言ってくれていましたから、
世界のホースマン達に、その圧倒的なスピードを
見せつけて欲しいものです。
今年の下半期は
オルフェーヴル・ジェンティルドンナの凱旋門賞、
ロードカナロアの香港スプリント再戦と、
日本馬の強さを世界に示してほしいものです。
世界よ、これが日本競馬だ!と。
江戸川乱舞 今後の注目馬
・マジンプロスパー
G1ではやや足りない印象。
しかしG2やG3レベルなら十分戦えるので、要注意。
・ツルマルレオン
外国人騎手との相性は疑問符。
追える騎手で一変の可能性アリ。