日曜日の朝、中山競馬場にどよめきが起こりました。
中山10Rのジョッキーの乗り替わりを告げる知らせは、
「白い黄金配合伝説」の幕開けを表現した知らせだったのかもしれません。
「1枠2番エイシンフラッシュの乗り替わりをお知らせします」
そのアナウンスは
急病のため、デムーロ騎手から三浦騎手への乗り替わりを発表するものでした。
この事を鞍上強化ならぬ「鞍上弱化」とハッキリ表現した評論家も多数いました。
今思えば、波乱の芽はこの時からあったのかもしれません。
7倍台前半だったエイシンフラッシュの単勝オッズが、
レース直前には10倍台になっていたこともこの「鞍上弱化」を
多くの競馬ファンが如実に感じ取った結果かもしれません。
しかし、それ以上にオドロキの展開になったのはスタート直後、
一流馬らしく大半の馬が好スタートを切る中、
1頭大きくいななき、悠然とスタートを切った馬がいました。
その馬の名は、
この秋、主役になりきれなかった大物ルーラーシップ。
その大胆なスタートに場内は悲鳴にも似た叫び声が上がります。
そしてそれ以上に観客をハラハラさせたのはゴールドシップのスタートダッシュ。
天性のズブさなのか、なかなか行き脚がつきません。
レースは大方の予想通り、人気の2頭が後方から行く展開となります。
残念だったのは、大逃げ宣言していたアーネストリー。
馬スピ特報内でも私が触れていたように
「アーネストリーの「大逃げ宣言」が出ているが、それは陣営の話。
乗り役は「あまり逃げたくない」と語っているという情報もある。」
と言った事が現実になってしまった点。
有馬記念と同コースで行われた日経賞では、
ネコパンチが果敢に逃げ、重い馬場を味方につけて、圧勝。
大波乱を演出した。
アーネストリー陣営の描いていた青写真は
ネコパンチのようなアーネストリーの大逃げだったはず。
そこにビートブラックとトレイルブレイザーがついていければ・・・という
思惑があったはず。
人気馬が後方から来る事はある程度わかっていただけに、
アーネストリーはもっと果敢に逃げるべきだったかもしれません。
そうすればもっと、違った結果になっていたと思います。
2周目に入り、徐々に順位をあげていくルーラーシップとゴールドシップ。
馬群は団子状態に密集したまま3コーナーへ向かっていたところで、
大外に持ち出し一気にスパートしたのは1番人気のゴールドシップでした。
その「白い黄金配合」は古馬の壁をもろともせず、順位をねじあげていきます。
「グイッ!グイッ!」その勢いは大歓声をも書き消す勢いです。
馬群が外へと膨れる最終コーナー。
ゴールドシップの更に外目にいたのが、ルーラーシップでした。
今回の着順の差は仕掛けのタイミングの差でしょう。
スタートで出遅れていた分、ルーラーシップがゴールドシップよりも
先に仕掛けるのは大きな勇気がいることですから。
しかし、結果論から言えば、
先に仕掛けたゴールドシップに軍配が上がります。
ルーラーシップはこの秋の3連戦全て「出遅れがなければ・・・」と、
悔いの残る結果となってしまいました。
しかし、上位2頭で決着するかと思いきや、内側に目を転じると、
ルメール騎手の操るオーシャンブルーが白い帽子のエイシンフラッシュを
抜き去り、一瞬、先頭に立ちますが、ここまで。
終わってみれば、地方騎手→外国人騎手→外国人騎手で決着する
内容のレースとなってしまいました。
急遽、乗り替わりとなった三浦騎手の跨るエイシンフラッシュは
わずかに及ばず4着。
5着・6着も外国人騎手だった事を考えれば、大健闘と言える内容だと思います。
エンパイアメーカー・黄金配合・日高の小牧場出身の馬達の活躍。
今年の日本競馬は社台の独り勝ちを痛感しながらも、
色々なレースで、心温まる出来ごともたくさんあったのではないかと思います。
有馬記念を勝ったゴールドシップは今年のG1は3勝目。
日高の小牧場で生まれた1頭の「白い黄金配合の奇跡」の数々は、
「ステイゴールド×メジロマックイーン」の配合を抱える仔馬を持つ、
小牧場にとってはこれ以上ないビッグニュース。
2012年はサンデーサイレンス没後10年でしたが、
オルフェーヴル・ジェンティルドンナ・ゴールドシップと、
そのサンデーの血を引く子たちが、
取り損ねた「世界の頂点」に再び挑戦する布石となった
記念すべき年なのかもしれません。
2013年の近代競馬151周年の時に、
日本競馬が世界の頂点に立つ事を確信した有馬記念の「白い黄金配合の奇跡」の
勝利をたたえつつ、江戸川のレース回顧とさせて頂ければと思います。
江戸川乱舞 今後の注目馬
・ルルーシュ
不可解な増体重。
絞れればもっと上位はあったはず。
見限るのははやい。
・ダークシャドウ
やはり距離が長かった可能性が高い。
ムーア騎手の腕だけで6着に来た可能性あり。
距離短縮で見直し。