昨日から良馬場で行われていた阪神競馬場。
2012年の関西圏最後のG1は日曜日の朝のレースから、
ちょっとした波乱のサインの兆しがひたすらあったように思います。
「メインは荒れるよ」
そんな誰かのささやきに気付いた人はかなり少なかったように思います。
振り返ってみれば、芝ダート問わず、
一般的に「重い」と敬遠されがちな血統の馬ばかりでした。
特に10Rは圧倒的な人気を集めていた
ディープインパクト産駒エキストラエンドが直線で失速、9着と惨敗。
勝ったのは「クロフネ×トニービン」という重厚な雰囲気のあるエーシンミラージュで、
このレースの私が本命にしていた8番人気タニノエポレット(母父ジェネラス)が、3着。
天候良く、申し分ない良馬場発表ですが、午前中のレースを見ても、午後のレースを見ても、
重厚な雰囲気のある血統の馬ばかりが好走していました。
特に軽い芝を得意とするディープインパクト産駒は2着が精一杯。
そう異変はこの日の「流れ」から起きていたんだと思います。
2歳のチャンピオンを決めるレースにしては、
全出走馬、落ち着き払った雰囲気で輪乗りを行っていました。
スタート自体も比較的、全馬キレイに決まったと思います。
レースを引っ張ったのは、タガノミューチャン。
しかし、全馬団子状態で、18頭全てが一団と言う感じでした。
逃げていたと言うよりはたまたま先頭を走っていたという表現が良いのかもしれません。
傍から見ていてレースは比較的ハイペースで進行しているように見えました。
問題だったのは団子状態のまま3コーナーを通過し、最終コーナーに入ったところです。
ここで各馬のペースが一瞬緩みます。
そう、団子状態のままでは抜け出せず、各馬が進路取りを行った為、
ペースが緩んだのだと推測されます。
直線に入り、レースは再び清流から激流へ。
内側で人気のサウンドリアーナも頑張りますが、速いペースを前に沈黙。
やはり距離が長かったのかもしれません。
レースを引っ張っていたタガノミューチャンも、
後続に終始突っかかられたのが苦しかったのかここまで。
その間隙を縫って進出してきたのが、今回の波乱の主役・15番人気クロフネサプライズ。
白い馬体が敢然と先頭に立ちます。
そのクロフネサプライズに迫っていく後続の馬達。
中でも最内枠で各馬が最終コーナーでもたつく中、
最短時間で進路を確保した秋山騎手の5番人気ローブティサージュが
怒涛の追い上げを見せ、一完歩、一完歩とクロフネサプライズに迫ります。
今年絶好調の須貝厩舎の看板娘が
頂点へ向けて阪神の坂を駆けあがります。
そして、このタイミングで、ようやく後続の主要人気馬が上位争いに顔を出します。
中でも、決していい馬場とは言えない所から顔を出したのは10番人気のレッドセシリア。
競馬界の新星と呼ばれた三浦皇成騎手も未だG1勝ちは無し。
決死の追い上げを見せます。
そして粘る15番人気クロフネサプライズの柴山騎手も欲しい中央G1タイトル。
主役不在の今年の阪神JFは騎手にとっても同様で、
有力騎手が香港遠征をしている今、結果を出さなければ、
来春のクラシックの乗り馬は無いに等しい状況となります。
それは未だ後方にいるコレクターアイテム・アユサン・サンブルエミューズも同様。
ここで結果を出せなければ、またローカル回りが待っています。
どの騎手も最後まで諦めない。
これが3連単300万馬券の原動力だったのかもしれません。
坂を駆けあがっても、クロフネサプライズは食い下がります。
脚色は完全にローブティサージュ・レッドセシリアの方が上ですが、
驚異的な粘り腰を見せ、2着を確保。
レッドセシリアも猛追及ばず3着。
そして勝ったのは、秋山騎手のローブティサージュでした。
秋山騎手は今年これでG1を2勝。須貝厩舎も同じく2勝目。
今年だけで重賞8勝を上げる最高の1年になったと言えるでしょう。
現在リーディングを独走中の浜中騎手騎乗のコレクターアイテムは惜しくも4着。
しかし内目の枠を走りながら最後、外から突っ込んできたところを見ると、
やはり力は相当なモノ。
今後に期待せざるを得ません。
レースは今年のG1レースで最高配当となる300万円馬券。
勝ったローブティサージュはウォーエンブレム産駒で、
2着のクロフネサプライズはその名の通り、クロフネ産駒。
ダートG1のような決着ですが、
阪神競馬場で今日活躍していた重厚な血統の馬から答えを導き出せば、
意外と取れていた馬券なのかもしれません。
ここ数年、抜群の切れ味の馬ばかりが活躍してきましたが、
来年のクラシックは「パワータイプ」というのが、
一つのキーワードになるかもしれませんが、
しかし、クラシック戦線にはまだ隠れた大物が居ることは間違いありません。
今日勝ったローブティサージュを始め、
上位入着馬が最も警戒しなければならない馬・オツウが控えています。
こちらもローブティサージュと同じ須貝厩舎。
今後の牝馬戦線からも須貝厩舎には要注目です。
桜の花をバックに、春の仁川で再び激戦が繰り広げられる事を願って、
レース回顧の結びとしたいと思います。
江戸川乱舞 今後の注目馬
・サウンドリアーナ
17着惨敗も、今日は早い流れ+距離延長で不発だっただけ。
距離短縮で見直し
・コレクターアイテム
順当なら突き抜けていた可能性もあったレース。
4着も、十分に世代のエース候補。