「ステイゴールド×メジロマックイーン」の黄金配合が
秋の京都で再びその強さを証明し、
もはや、この配合の素晴らしさに誰も異議など唱えないでしょう。
圧倒的なスタミナ、勝負根性、末脚、スター性。
中途半端な上がり馬が圧倒的多数を占めた今年の菊花賞では
4強(ゴールドシップ、ディープブリランテ、グランデッツァ、ワールドエース)
として春のクラシックで凌ぎを削ってきたゴールドシップの実力は
一枚も二枚も上手だったということでしょう。
ゴールドシップ以外は、全てケガで戦線を離脱。
ダービー馬・ディープブリランテも
競走馬の癌といえる「屈腱炎」で木曜日の午前中の時点で離脱表明。
大本命の2頭を失い、
それまで注目されなかった無理やり穴人気になった馬達が
必要以上に多くピックアップされました。
金曜日の前売りではゴールドシップ以外の出走馬のオッズは混戦を極め、
3着に入線した7番人気のユウキソルジャーの前売りは
3番人気になっていた時間帯もあり、
ゴールドシップ以下の馬がいかに混戦模様だったかを
如実に表すオッズとなっていた事も今年の菊花賞の特徴の一つでしょうか。
レースのスタート直後、
ゴールドシップに騎乗していた内田騎手は一気に下げます。
この展開を見たときに「ゴールドシップは終わったな」と正直思いましたが、
終わっていたのは私の方。
今思えば、馬群に入って身動きとれなくなるよりも、
一気に下げて外へ出やすくする為の内田騎手の作戦だったといえるでしょう。
それに気付いたのは最初に4コーナーを向いたときに
行きたがったゴールドシップを、必死に抑える内田騎手の姿を見たときでした。
「もしかすると・・・ウチパクは・・・」
たしかに思っていたよりもペースは遅くなかったですし、
逃げや先行すると思われていた馬が中団で折り合い、
ハナを主張するビービージャパンは想定通り先頭に立ち、ペースを落とそうとします。
しかし、その絶好のタイミングでちょっかいを出す小牧騎手騎乗のトリップ。
ビービージャパンは自分のペースでレースを作る事が出来ず、
想定よりも若干早いペースでレースは進みます。
例年のスローペースで進行する菊花賞には無い、
どの馬もゴールドシップよりも前へという意識で
競馬をしているのが伝わってきました。
しかし、ある程度ペースが落ち着いた向正面で白い馬体が一気に順位を上げ始めます。
最後方にいた馬が2週目の3コーナーを過ぎたあたりで中団へ。
そして、坂を下りきるあたりで、
一気に先頭のマウントシャスタ・ビービージャパンに襲い掛かります。
1頭だけモノが違うと言わんばかりの抜け出し、
これが4強を形成した馬と夏の上がり馬との違いでしょう。
「ゴールドシップ圧勝か・・・」と思ったその瞬間、
レース中、ひたすらゴールドシップの動きに警戒し、
タイミングを伺っていたベールドインパクトが喰らいつきます。
芝の一番いいところを選んで勝負を賭けるベールドインパクト。
必死にゴールドシップに喰らいつきますが、
内側にいたスカイディグニティも負けじと奮戦します。
ゴールドシップもスパートしたタイミングを考慮すれば、当然脚は鈍りますが、
最後はずば抜けた勝負根性で先頭を譲らずそのままゴールイン。
最後まで横綱競馬を貫き通し、菊花賞の主役であり続けたゴールドシップ。
2年連続「ステイゴールド×メジロマックイーン」の
黄金配合の菊花賞制覇となりましたが、
ゴールドシップの芦毛のその馬体はオルフェーヴルというよりも、
メジロマックイーンにその姿を重ねた人も多いのではないでしょうか?
90年代前半、圧倒的なスタミナで長距離戦線に覇を唱えたメジロマックイーン。
彼が最初に制したG1が菊花賞でした。
菊花賞を皮切りにメジロマックイーンは王者の道を歩み始めました。
注目を集める黄金配合の先輩・オルフェーヴルは凱旋門賞で2着。
果たして、ゴールドシップはどのような最強馬への旅を始めるのでしうか。
二冠制覇したことで
ようやく船が大海原へ向かって動きだしたと言っていいいでしょう。
これから刻まれる航海日誌の読者として、見守り続けていきたいものです。
日高の小牧場出身のゴールドシップが
世代最強の栄誉を手に入れて終わった今年の菊花賞。
無事是名馬という言葉が当てはまりますが、
次々に脱落したライバル達の分も含めて、古馬と戦う重責を担いました。
彼を最強に導いた内田博幸騎手はレース後のインタビューで
「菊花賞を勝つ秘訣は?」と質問され、こう語ります。
「強い馬に乗れば、勝てます」
「内田」博幸騎手の好騎乗で、導かれた菊花賞制覇の勲章。
ゴールドシップの祖父・メジロマックイーンも
菊花賞を制した時に騎乗していたのが「内田」浩一騎手。
彼もまたこの物語の登場人物の一人でしょう。
馬の姿・騎手の名前、小牧場の夢。
競馬のドラマの奥深さを改めて感じた2012年のクラシックでした。
江戸川乱舞 今後の注目馬
・コスモオオゾラ
骨折明けで今回は度外視。
世代レベルはトップクラスなので、次走は注意。
・ラニカイツヨシ
レースに将来性を感じました。
これからまだまだ強くなる馬だと思います。