メジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネに続く
史上4頭目の牝馬三冠はジェンティルドンナに輝きました。
個人的な感想を言わせて頂くと、この秋華賞。
牝馬クラシックレースの歴史の中でも屈指の名勝負になったと思っています。
牝馬三冠だけでない「女の闘い」の結末に感動させて頂きました。
レースはばらついたスタートで幕が開きます。
まずハナを切ったのはまさかのヴィルシーナでした。
積極策を望んでいたアイスフォーリスがそれに続く展開となります。
実はこの間、
私が気にしていたのはジェンティルドンナの位置です。
カメラワークの関係でしっかり見れなかったのですが、
スタート直後、
ジェンティルドンナにアイムユアーズが閉じ込めにいったように見えました。
カメラが先頭に切り変わっていますから、
気付いたときには、ジェンティルドンナの周辺には
アイムユアーズ、ミッドサマーフェア、トーセンベニザクラが
しっかりとマークについていました。
この時は「もしかするとジェンティルドンナは出て来れないかも」
と思っていました。
先頭はヴィルシーナが淡々としたペースで逃げ続けます。
「スローペース、これは直線の用意ドンだ」と思いを巡らせていると場内から歓声が。
大外から一気に順位を競り上げてくる小牧太騎手騎乗の
チェリーメドゥーサの姿が見えました。
園田・姫路で凌ぎを削った岩田騎手の先輩が、
緩みきったレースに緊張感を生み出します。
前半1000mの通過タイムは1分2秒2。
キレ味勝負の展開になるのなら、一発を狙って前へ。
毎日のようにレースがあり、
苦しい経営状態の地方競馬の中で育った勝負勘が
中央のクラシックの舞台でも如何なく発揮されます。
「淀の坂を登り始めたところで差をつけて、大差をつけて下っていけば、
ジェンティルドンナの三冠を阻止できるかもしれない。」
小牧騎手にはこういう計算があったはずです。
前走も同じような形で勝っていますし個人馬主からの依頼だからこそ、
大胆に乗れたのでしょう。
一気にレースが締まりました。
後続を引き離したままチェリーメドゥーサが逃げ続け、
観衆に大波乱の予感を植え付けたままの手ごたえを残し、直線へ。
ジェンティルドンナの岩田騎手・ヴィルシーナの内田騎手。
2人のジョッキーの3角から4角での所作には
明確な「差」があったように思います。
好位置につけたまま、
淡々と目標のチェリーメドゥーサ目がけて弾け飛んだヴィルシーナと内田騎手。
園田・姫路の先輩・小牧騎手の想定外の「奇襲」に驚く岩田騎手。
もう4コーナーに入る前から一気に勝負。
ジェンティルドンナの桁違いの能力に全てを賭けます。
それをみて佐藤哲三騎手のアロマティコが勝負に出ます。
が・・・しかし、出せるポイントが無く2テンポ程、
追い出しが遅れた様にも見えました。
最後、届かなかったのは位置取りの差があるのかもしれません。
最後の、直線はチェリーメドゥーサが残り30mほどまで先頭で粘ります。
なんとか残そうと必死に追う小牧騎手。
しかし、BIG牝馬二冠と牝馬準二冠の末脚は驚異的。
他の馬が止まって見えるほど凄まじかったです。
ジェンティルドンナとヴィルシーナの叩き合いは
かなり見どころがありました。
一種の天才、そして努力の人・岩田騎手と
南関で日本一に輝いた内田騎手の格闘技のような2人の叩き合い。
その姿とは対象的に為す術もなく、
順位を確保するしかない生え抜きの中央騎手。
最後の一冠をかけた「元地方」騎手の壮絶な叩き合いにもドラマがあり、
秋華賞で大勝負を仕掛けたこちらも「元地方」騎手の小牧騎手。
騎手の乗り方一つで「競馬とはこんなに魅力的だったのか」と
改めて感心しました。
競馬ファンを魅了し、2人と2頭がゴール板を駆け抜けた後も
覚め止まぬ興奮。
そして歓声。
久々に競馬の真骨頂を見たようなレースでした。
最後はハナ差でジェンティルドンナに軍配が上がり、
歴史的な牝馬三冠となりましたが、
それ以上の興奮を与えてくれたレースでもありました。
ジェンティルドンナはこの後、エリザベス女王杯で
姉のドナウブルーと対決する事になるかもしれません。
そして海外遠征と言うプランも陣営は抱いているのかもしれません。
来年、オルフェーヴルの仇は大和撫子のジェンティルドンナに
取ってもらいましょう。
今度の牝馬三冠馬は本当に「男勝り」かもしれません。
江戸川乱舞 今後の注目馬
・チェリーメドゥーサ
前走の白井特別でも早目まくりで勝利。
小回り競馬場なら魅力アップ。
・ラスヴェンチュラス
馬体が寂しく見えました。
立てなおした後には要注意です。