結果的に「今週のレース分析」(毎週火曜更新)で私が予見していた通り
フミノイマージンが圧勝した。
トーセンジョーダンの回避で一気に混戦ムードになったが、
その影響で圧倒的な人気を背負ったダークシャドウは久々がこたえただけでなく、
展開も向かなかったか。
福永騎手自身は感じていただろう。
ダークシャドウが小回り苦手で洋芝適性にも疑問があるので、
先手先手の競馬しか戦法がないということを。
結果的に最後は苦しい形になってしまったが、
しっかり脚を貯めて後半で勝負というレース展開ならやはり強いはず。
最強五歳世代の一角という地位はまだ守られるだろう。
苦しい中でもヒルノダムールを抑え込んだのだから。
またそのヒルノダムールは相変わらず善戦マンという地位が揺らがない。
とにかく勝ちきれない。
衰えかどうかはわからないが、相手なりに走る。
しかし今回はこのメンバーの中でもかなり苦戦した印象が個人的にはある。
完全復活はありえるのだろうか。
今のままの戦績では天皇賞がフロック視されかねない。
復活のきっかけをつかんでほしい。
またハナズゴールはかなり健闘したのではないだろうか。
09年のブエナビスタがハナズゴールと同じ3歳で出走し、
古馬相手に2着になったことを考えれば、今回はその時以上のレベル。
4着でヒルノダムールとは0.1秒差を考えれば
ブエナビスタの時以上の評価をされるべきであると思う。
レースはよどみなく展開した。
先手を取ったのはミッキーパンプキンと、アリゼオの7枠2頭。
この両頭が下位に沈んだことを考えれば
3番手につけていたダークシャドウの2着はすごい。
この後、順調に使われれば秋、オルフェーヴルのいない古馬戦線の主役は彼だろう。
ついに福永騎手が牝馬限定やマイル限定以外のビッグタイトルを
手に入れる瞬間を見られそうだ。
そして最後の直線266m、戦慄が走った。
今までの敗戦がウソのように、
フミノイマージンが息を吹き返してきた。
その末脚は牝馬らしからぬ、豪脚。
最強世代の男馬をカンタンに手玉に取る妖艶な美女が
一気にその封印していた末脚を爆発させた。
「現役最強牝馬」だと個人的にはずっと思ってきたし、
昨年春にフミノイマージンが太宰騎手と共に初めてつかんだ重賞の福島牝馬S以来、
ずっと重い印を私はフミノイマージンに打ち続けた。
5月のヴィクトリアマイルは「生涯最高のデキ」と誰もが評価していた。
フミノイマージンは6歳。
彼女にとって最後のG1になってしまう可能性もある。
そのレース以降なぜか苦楽を共にした太宰騎手から別の騎手に手綱が変わった。
別の騎手自身にもフミノイマージンへの騎乗経験もあり、勝ち星もある。
しかも太宰騎手はローカルが主戦場。
別の騎手は大舞台に強く、G1ジョッキーでもある。
納得の乗り替わり・・・と思ったのは関係者だけだろう。
この時、圧倒的多数のフミノイマージンのファンたちは
一気にアンチテーゼの意思表示した。
昨年の福島牝馬Sは人馬共に初の重賞勝利。
その後、フミノイマージンと太宰騎手はマーメイドS、
愛知杯と合計3つの重賞を制することになるが
フミノイマージンは5歳になって、
太宰騎手はデビュー14年目にして初めてつかんだ初重賞制覇タイトルだった。
「フミノイマージンと共に大舞台へ」という思いは強かったはず。
陣営も牝馬なら引退を考えなければならない年齢になる牝馬に
「ビッグレースを取らす」という思いで、やってきたはず。
この両者の思いが交錯して、ファンから大きな失望を買う
「乗り替わり」という選択になってしまった。
少なくともファンはローカルが主戦場の派手ではない太宰騎手が
ようやくビッグタイトルを掴もうかというタイミングで、
実績のある騎手への乗り替わり。
その結果は最後の直線で前が塞がってレースにならないという最悪の結果。
こんなことが二度も続いた。
ファンはもちろん、関係者も残念だったはず。
だからこそ、もう一度、太宰騎手へ騎乗依頼を出した。
意外なっことに長い現役生活で太宰騎手の札幌競馬場での騎乗は今回が初めて。
「そんなに長くない現役生活、後悔の無いように」そう思い
フミノイマージンに跨った彼は、直線一気。
現役トップクラスの強豪馬相手に圧勝した。
斤量とか展開どうこうではない、目には見えない人と馬のお互いを知り尽くした絆が、
こういった注目を集める舞台で大仕事をやってのける。
最近は何かあればすぐに外国人騎手や地方競馬経験のある騎手が乗るが、
競走馬と共にサクセスストーリーを歩んでいく
一人の有名とは言い難い騎手の姿は多くの感動をファンに呼ぶはず。
札幌初騎乗の太宰騎手をフミノイマージンがサポートし、
フミノイマージンが最高のパフォーマンスを出来るよう、
太宰騎手がエスコートする、ファンにとっても、関係者にとっても、
より多くの人が納得する結末になったのではないだろうか。
個人的には当初からこのストーリーを予感しながら、
突然ストーリーの主人公を「太宰&フミノイマージン」から
「古川&ヒットザターゲット」へ配役を変えてしてしまった事が、残念でならない。
彼らが主役のストーリーは別のページにあったようだ。
江戸川乱舞 今後の注目馬
・ネオヴァンドーム
相手なりに走れる馬だが最近は成長を感じる。
そろそろ買い時が来るだろう。
・アリゼオ
途中までは非常にスムーズ。
一変する可能性もあるので、要注意。