読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋・・・
秋らしい日々が続くようになりましたが、
ベテランファンの中にはスプリンターズSは
秋のレースと言うイメージが少ない人も多いかとおもいます。
以前は有馬記念の前週に開催されていたので、
年末の風物詩といった趣があったレースですが、
それも一昔前の話。
そう、2020年の東京オリンピックが行われる頃には
あのロードカナロアとハクサンムーンがしのぎを削った
秋競馬の名物レース・スプリンターズSというイメージを
抱く人も多くいるかもしれません。
おそらくロードカナロアは年内で引退。
来年には種牡馬入りするでしょう。
そして、ロードカナロアが次のステージで戦い始めた頃、
スプリント戦線はハクサンムーンの天下となっているに違いありません。
ハクサンムーンの活躍次第では、
ロードカナロアは霞んでしまうかも・・・
そんな未来まで見えるようなレースだったと思います。
レース前はハクサンムーンとフォーエバーマークの
ハナ争いが注目されましたが、軍配が上がったのはハクサンムーン。
決して両馬ともに完璧なスタートではありませんでしたが、
酒井騎手決死の追いでハクサンムーンは先頭へ。
負けじと村田騎手も内からガンガン行きますが、
役者が違ったのでしょう、単純についていけてなかったようにも見えます。
前半600mが32.9秒のペースですから、なかなかのハイペース。
あまりの早さに、村田騎手もハナ争いを途中で諦めたようにもみえます。
そしてそのペースの速さは
ロードカナロア以外の有力馬にも大きな影響を与えたはずです。
もしも江戸川がドリームバレンチノに乗っていたなら、
「前が早いからロードカナロアだけ見ていこう、前は沈んでくる」
という思考でレースを進めていたと思います。
おそらくこれは他の馬も同様。
特に3着に粘ったマヤノリュウジン池添騎手は
「ロードカナロアの後ろにいても勝てないからちょっと前にいよう」
という感じでレースを進めたはずです。
ハクサンムーンが快調に飛ばす中で
ロードカナロアをマークしている馬はそれを見ながらレースを進め、
馬の実力に自信が無い池添騎手がワンテンポ早めに仕掛けた・・・
と言うのが直線までの大まかな流れでしょう。
最後の直線でハクサンムーンの粘り腰に
ついていけなかったのは少し後ろにいた先行馬達。
フォーエバーマークは4コーナーで終了。
他のサクラゴスペル・パドトロワも直線で撃沈。
その間隙を縫って、抜け出したのはロードカナロア。
大本命のロードカナロアでした。
全力で坂を駆けあがるハクサンムーンに、詰め寄る王者。
その姿はまさに貫録の違い。役者の違い。大スターの風格。
一本調子の「今でしょ」が流行ったと思ったら、
大本命「倍返しだ!」が、「5倍返し」「10倍返し」「100倍返し」と、
二の矢、三の矢を繰り出してくるぐらいのレベルの違い。
「これが王者」という素晴らしいレースぶりでした。
しかし2着のハクサンムーンもまた、怪物。
あのペースについていけなかった馬達が軒並み沈んでいく中、
凄まじい粘り腰を見せたハクサンムーン。
「世界が見上げた月」アドマイヤムーンの後継者として、
今度はロードカナロアの次に、海を渡ってほしい怪物。
来年は白山の上に映える月を眺めることになりそうです。
・サンカルロ
7歳馬だがまだまだ元気。
今後も狙える1頭。
・グランプリボス
1200はやや短い印象。
次走見直し。