お盆も終わる日曜日の15時40分。
競馬スピリッツ専属コラムニスト・江戸川乱舞は
絶望の淵に追い込まれていた。
ここまで終日荒れる結果になるのは久しぶり。
競馬スピリッツの指定メインレースでもあり、
会員から最も人気のある馬スピ特報で公開していた予想も、
☆△△と見えてるんだか見えてないんだかの結果。
「馬場が荒れてるんなら、
ネコパンチにもチャンスがあるんじゃないか・・・」
そんなところまで追い込まれる落胆ぶり。
このまま舌を噛んで果てるか、
JRに飛び込むか、富士の樹海に旅に出るか・・・
新潟のメインレースすら興味も持てず、
うつろな目のままパソコンに向かって札幌記念を振り返る。
頭の中に思い描く景色は
トウケイヘイローが逃げ切って勝つ姿。
その姿は函館9R・定山渓特別でネコタイショウが
兄・ネコパンチの日経賞の時ばりの大逃げをかまして勝つ姿とダブって、
なにげに武豊という男は
「江戸川さん、逃げ勝ちまっせ」というサインを出していたのか・・・
そうも感じとれてしまうほどの落ち込み。
意識を失いつつある江戸川乱舞の頭の中では
自分の恥しい過去が走馬灯のように駆け巡っている。
「このまま死ぬのか・・・」
そんな思いにさせてくれた札幌記念は
朝から荒れ模様でした。
函館市の近隣市町村では
1時間に100mmを越す雨が降ったらしく、
当然、函館競馬場の馬場も悪化の一途。
非常に時計のかかる馬場に変貌し、
前にいないと厳しいレース展開になりそうな予感が朝からしていました。
レースは早めから先手をとった
トウケイヘイローが逃げを打つ展開に。
すでにここが誤算。
レースを一緒に引っ張ってくれると思った
ネコパンチが控える格好に。
武豊騎手が楽に逃げられるまさかの展開。
レースは縦長の展開になり、後方にいる馬の中には
1000mを過ぎたあたりから仕掛ける馬も出始め、
「もう手が動いてる、地方競馬じゃないんだから 笑」
と、ゲラゲラ笑っていた江戸川でしたが、
手を動かしているのが本命のルルーシュだと知り、
開いた口が塞がらず、そのまま不的中を悟ります。
そして4コーナーでは、
天才武豊の絶妙なペース配分の前に戦意喪失する馬が続出。
時計的にも、見た目以上に
スタミナを必要としたレース展開だったように思います。
着順的には函館記念の再現のような着順でしたが、
それ以上に、荒れた馬場に対する適性が
最も求められるレースだったのではないかと・・・。
高速馬場で瞬発力を必要とするようなレースで
力を発揮する馬達が、
今回の札幌記念では直線で
今後にダメージを残さない配慮も働いてか続々脱落。
人気になったロゴタイプも
5着に入ったとはいえ完敗と言わざるを得ない内容でしょう。
秋は天皇賞が最大の目標になるのかもしれませんが、
今回以上に相手関係が厳しくなる環境では
どうでしょうか。疑問が残ります。
やはり今年の3歳の世代レベルは高くないと見ていいでしょう。
2000m以上だとキズナ・エピファネイアくらいしか、
まともに一線級古馬とやりあえないんじゃないでしょうか。
ただロゴタイプの場合、秋は乗り役が外国人騎手に変わりますから、
完全無視も出来ないと判断する人も多いでしょう。
それはそれでオイシイ展開かもしれません。
いずれにせよ、
勝ったトウケイヘイローは完勝と言える内容。
これまでの勝利は
「ユタカマジックの賜物」と思っていましたが、
陣営や乗っている武豊騎手も驚くほどに、
馬自身が強くなっているようです。
あの道悪馬場を先頭に立って最速の上がりを使って勝つ。
武豊騎手の乗っていたサイレンススズカや
スマートファルコンを彷彿とさせるレース展開。
今後も期待大です。
秋競馬が楽しみになってきましたし、
トウケイヘイローの存在感がグッと増した札幌記念でした。
・アンコイルド
重たい馬場でも十分こなせるパワータイプ。
ダートでも面白いのかも。
・マルセリーナ
この条件で9着は大健闘。
次走、牝馬同士ならおもしろい。