ロゴタイプ、キズナ、エピファネイア、コディーノ。
この4強が激突する今年のダービー。
最も格式あるレースだけに
マイネルホウオウの柴田大知。
メイショウマンボの武幸四郎。
彼ら以上の、ドラマが展開されるはず・・・
それだけに、この4強の中から
最もドラマチックなシナリオを考える必要がありそうです。
今回はダービー。
気合を入れていつも以上にしっかりと書いていきます。
まず注目は武豊とキズナ。
今、「武豊の復活」を望む声が、関係者から多く聞かれます。
その武豊の復活には絶好の舞台が整ったでしょう。
武豊の代名詞・ディープインパクトの息子で、
自らも跨ったファレノプシスの弟。
メイショウの松本オーナー並みに、武豊という天才を支えている
ノースヒルズの前田オーナーの渾身の1頭。キズナ。
以前から前田オーナーが温存していた名前で
大震災の年に名づけられた1頭。
主戦は佐藤哲三騎手でしたが、落馬事故の件以来、
武豊騎手が手綱をとり、今回ダービーに挑戦します。
久々に「武豊が主役のダービー」ですから、
ファンの期待値も高い筈。
確かに京都新聞杯を見ても、
馬群を抜き去る姿は、ディープインパクトを彷彿とさせる内容。
明らかに有力候補でしょう。
「ディープインパクト産駒」「武豊」「キズナ(=絆)という名前」
もう全てのシナリオの伏線は出尽くしてあとは回収するだけという状態。
サスペンスなら、
犯人を人気の無い崖のところまで追い詰めた感じ。
なんなら、もうすでに犯人の自白が始まっている段階です。
しかし、ここからの展開は崖まで追い詰めた犯人に対して、
名刑事が「実は新犯人は別にいますね?」という、
視聴者驚きの「相棒」的な展開に。
警視庁・特命係の杉下右京さんなら
こういう「まさか」という推理もありえるかもしれません。
「ひとつ、よろしいでしょうか?
ある特定の騎手に、ダービーの栄誉をもたらす
1頭の馬がいますね?」
そう崖っぷちに追い詰められた人物が
力なくつぶやいたその馬の名前・・・それは・・・
福永祐一騎手騎乗のエピファネイア。
今年のダービー馬にキズナと同じく近い馬でしょう。
過去を振り返っても、
ウイニングチケットの柴田政人。
アグネスフライトの河内洋。
ロジユニヴァースの横山典弘。
と、上記3頭は
「○○にダービーを勝たせる為に生まれてきた馬」
と言っても過言ではない程の戦績とファンの勝手なイメージがついています。
おそらくエピファネイアもその1頭。
「牡馬クラシックとは無縁」「牝馬の福永」
「マイラー」「いっくん」と、
様々な言葉で揶揄される福永騎手ですが、
エピファネイアと歩んできたデビューからの日々は
まさに「福永祐一にダービーを勝たせるための日々」としか思えません。
もちろん横山典騎手がダービーを勝つ為に
丁寧に教え込んだコディーノが、
今までの経緯を無かった事にして、
C・ウィリアムズを乗せる判断をした事も
エピファネイアの追い風になるでしょう。
人馬一体となって競馬は行うもの。
騎手・馬がかみ合ってこそ実力以上の力を発揮するもの。
思いだして下さい。
去年の岩田騎手は
みっちりディープブリランテとコミュニケーションをとり、
念願のダービー制覇。
折り合いだけがカギだと言われていますが、
ダービーを勝つ為にいろいろやっていると皐月賞前から
福永騎手は話しています。
「シンボリクリスエスだから」「福永だから」
という理由で、馬券から外すのは、危険です。
オークスだって「スズカマンボ×グラスワンダー」ですし、
NHKマイルだって「スズカフェニックス×フレンチデピュティ」です。
エピファネイアはあのシーザリオの仔です。
府中でこそ、目覚める血があると見るべきでしょう。
それにどちらかと言えば、
危険なのはロゴタイプ・・・というよりC・デムーロ騎手。
まだ20歳の若者ですが、
ダービーの空気に呑まれないでしょうか。
最年少勝利騎手は戦前の前田長吉騎手が20歳3か月。
日本中央競馬会成立以後に限ると、田島良保(現調教師)の23歳7か月。
兄のM・デムーロですら24歳の時にネオユニヴァースでの勝利。
C・デムーロ騎手の実力は認めますが、
武豊騎手ですら緊張する超ビッグレース。
果たして空気に呑まれず、どこまで奮戦出来るでしょうか。
テイエムオペラオーに騎乗していた和田竜二騎手が
21歳でダービー挑戦し、3着に沈んだことを思えば、
20歳のC・デムーロ騎手がどこまで戦えるか不安です。
C・デムーロ騎手も2400mは福島ダートでしか勝ち星はありませんし、
府中の2400mでは勝利どころか馬券圏内もありません。
そもそも騎乗数も少なく2回(オークス・青葉賞)乗って、
レッドオーヴァル(2人気・17着)
ダービーフィズ(3人気・12着)と散々な結果です。
G1ジョッキーというゲームで日本の競馬場は
シュミレーションを行っているようですが、
ゲームと現実の競馬では全く違います。
それに4強の中で
最も距離が不安なのはロゴタイプでしょう。
父はローエングリン2000mまでしか現役時代勝ち星はありませんし、
母系はやはり2000mが限界の血統。
従兄弟のパドトロワは明らかにスプリンターです。
ロゴタイプは抑えるべき1頭ですが過剰評価は禁物です。
またコディーノも横山騎手から手綱が変わるなら、
評価を下げたい1頭です。
2週前と比べて、府中への騎乗感覚を戻してきたように思いますが、
果たしてウィリアムズ騎手の乗り方で
コディーノが府中2400mを走りきれるかが非常に疑問です。
横山典騎手が丁寧にコディーノに教えてきた
レースに対する意図が一回リセットされるワケですから、
決してプラスに作用するとは考えづらいです。
もちろんウィリアムズ騎手が
コディーノの隠された魅力を引き出す可能性も十分ありますが・・・
乗り替わり自体、この大舞台で効果があるとは思えません。
競馬に携わる全ての人が普段と違うのがダービー。
その普段とは違う雰囲気を馬も感じ取るはず。
コディーノも抑えるべき1頭ですが、評価は下げざるを得ません。
そして私が最も警戒しているのが、
キズナが後方から行くので、それを警戒したまま直線に入り、
先頭にいる馬が漁夫の利を拾うケースです。
恐いのが、サムソンズプライドとアポロソニックの2頭の逃げです。
中でもサムソンズプライドは
メイショウサムソン産駒ですが、母系にはダイナカールが居る家系。
日本でもトップクラスの牝系を抱えています。
早いペースでスタミナ勝負になったとしても、
スタミナ豊富なメイショウサムソンの血が入るのはプラス材料。
個人的に菊花賞で買いたい1頭でしたが、
菊花賞の前に一発かましてくれるかもしれません。
それにペプチドアマゾンも決してゲストではありません。
もし4強のうちの1、2頭が抜け出し大勢が決したあと、
突っ込んでくる可能性を秘めています。
2400mを経験済みで末脚は確実ですし、
前が早くなる展開になっても生き残れる1頭でしょう。
いずれにせよ、ダービーは人も馬も盛り上がるレース。
80回の節目ですから、
JRAもいろいろな宣伝をうってアピールしています。
そんな注目度の高いレースで、
誰がダービーの栄冠を手にするのか・・・。
私はエピファネイア、キズナに大注目です。
武豊騎手の復活も見てみたいですし、
福永祐一騎手が父親も果たせなかったダービー制覇で
男泣きする姿も見てみたいですね。
柴田大知騎手から始まった「涙」の流れは
競馬学校の一期後輩である武幸四郎騎手を経て、
花の12期生の福永騎手で帰結するんではないかと思います。
福永祐一騎手がエピファネイアで勝つことで、
ようやくキングヘイローの件は忘れられそうです。