トランセンドが引退。
スマートファルコンも中央ダートで雄姿を見せることなく引退。
エスポワールシチーには昔日の面影はなく、
JCダートを圧勝したニホンピロアワーズや
東京大賞典勝ちのローマンレジェンドといった王の姿はなし。
こんな状況で行われる今年のフェブラリーS。
王者不在ですが、それでも好メンバーが集まったと言えるのではないでしょうか?
JBCクラシック勝ちのワンダーアキュート、
日高の生産界が注目するエンパイアメーカー産駒・イジゲン。
最強スプリント・ロードカナロアと合せているグレープブランデー。
初ダートでも歓迎な血統・カレンブラックヒル。
昨年王者のテスタマッタに、上位だったシルクフォーチュン。
その他も各所で実績を残している
ナムラタイタン、ダノンカモン、セイクリムズン、
タイセイレジェンドらが出走します。
しかし今回のレースを「予想するのが難しい」と感じている方も多い筈です。
なぜなら、展開のカギ・・・いえ、レース全体のカギを握っているのが、
ダート初参戦となるカレンブラックヒルだからです。
カレンブラックヒルは「G1で逃げ切る事は不可能」と
言われていた府中のマイルコースを何なく逃げ切り、
毎日王冠は先行策1着、天皇賞・秋では終始番手に付けて掲示板を確保。
おそらくマイル路線では日本国内屈指の実力を持つ強豪馬です。
マスコミ的にも、この馬は追いかけやすいでしょう。
しかし、その分、過剰人気になってしまう事も懸念されます。
初ダートがG1で馬券圏内にきたのは、
過去にトゥザヴィクトリー(3着)だけ。
その息子のトゥザグローリーも昨年、JCダートに参戦していますが、
結果は無残にも16着。
初めてのダートでG1で勝ちきるどころか、
掲示板に乗ることがいかに難しいかを物語っていますが、
カレンブラックヒルも同様に、勝ちきるにはある条件が必須な気がしています。
それは「外枠に入る事」ではないかと思うのです。
内枠と比べて、芝部分を少し長く走れる府中のダートマイル。
芝でのスピードは超G1級のカレンブラックヒル。
スタート決めて、ハナに立てれば、そのまま逃げ切ってしまうかもしれません。
しかし、問題はスタートでの出負けや、
砂をかぶせられるような展開になり、それを嫌がった場合です。
さらにこの馬、秋山騎手の好騎乗の影響で、もまれる競馬を経験していません。
逆にカレンブラックヒル以外の馬は、小回り・ローカル・地方交流と、
様々な舞台を経験し、それらの中から勝ち上がってきた猛者ばかり。
いわゆる、優等生チックな競馬しかしてこなかった点が、
不安材料と言えば、不安材料。
「出負け&砂かぶって嫌がる」のコンボで、「走りませんでした」と、
レース後に言われても、仕方ありません。
実力は認めますし、外枠に入れば脅威です。
しかし、全幅の信頼が出来ないのが残念なところです。
むしろ信頼しやすいのは浜中騎手騎乗のグレープブランデーです。
昨年は念願のリーディング騎手も獲得し、ノリにノっていますが・・・
G1は09年のスリーロールスの菊花賞以来でご無沙汰。
混戦のレースだからこそ、今後の自分の為にも勝ってきたいレースでしょう。
それにJBCクラシックだけでなく、中央のタイトルも欲しい
ワンダーアキュートも今回の有力候補の1頭でしょう。
しかし、昨年11月から5走目。
全て堅実に走っていますが、そろそろ肉体的にも疲労があるはず。
疲労度を考慮すれば、
フェブラリーSを最大の目標としていた馬の方が評価はしやすい筈。
そう考えると、注目すべきはこの馬ではないでしょうか?
___SILVER___
昨年2着と今年こそなんとかしたいシルクフォーチュンです。
G1ではもう一歩足りない印象の馬ですが、
前が早くなる展開があるなら、
昨年のように後ろから来る馬で決まってもいいはずです。
末脚は、メンバー随一。
勝ちきらずとも、今年のメンバーなら3着圏内で、
勝ちきれるかどうかよりも、穴馬としては十分機能をしてくれるはずです。
そして、前に行く馬からは、
イジゲンを持つ、林正道オーナー所有のもう1頭・ガンジスも要注意です。
安定した先行力と末脚は展開に左右されず
発揮されていることから、重賞は未勝利ですが、
手に届く位置にいることは間違いありません。
今年も混戦のフェブラリーS。
つまり何が勝っても驚かない。
レース直前まで熟考する事が必要でしょう。