2005年の天皇賞秋といえば、
競馬ファンには、もはや伝説となっている
戦後初の天覧競馬が行われたレースです。
明治天皇による1899年の行幸以来106年ぶりとなる
今上天皇・皇后の天覧競馬が実現した競馬会にとっても
記念すべき行事だったと記憶しています。
1997年のエアグルーヴ以来、8年ぶりの牝馬による天皇賞秋制覇で
松永幹夫騎手(現調教師)が騎乗していました。
有名なのは競走終了後。
ウイニングランをしたあと、
踵を返してヘヴンリーロマンスをメインスタンドへ向かわせて帽子を脱ぎ、
レースを天覧した天皇・皇后両陛下に鞍上から最敬礼したシーン。
普段は気性が激しくチャカチャカうるさいヘヴンリーロマンスが
松永幹夫騎手が最敬礼した瞬間だけピタッと動きを止め、
最後にヘヴンリーロマンスも松永幹夫騎手に合わせて
かわいらしく頭を下げるシーンもまた愛らしかったですね。
今年はどのような名シーンが見られるのか、今から非常に楽しみです。
今上天皇・皇后は87年にも皇太子・皇太子妃として、天皇賞を台覧。
その時の優勝馬がニッポーテイオー、2着がレジェンドテイオーという
「帝王×帝王」馬券で決着。
7年前の天覧競馬の時も
皇后美智子さまがお召しになられていた帽子の色が白で、
勝ったヘヴンリーロマンスの枠番が1枠1番の白い帽子。
なんとも「サイン競馬」ファンにはたまらない決着を見せていますが、
果たして今年は・・・?
まず優勝候補筆頭なのは
宝塚記念でオルフェーヴルの2着だったルーラーシップ。
乗り役のメンディザバル騎手とは昨年の有馬記念以来、2度目のコンビ。
その際にもオルフェーヴルに肉薄(4着)した経緯もありますし、
相性は問題ないでしょう。
非サンデーサイレンスの血統で、キングカメハメハの後継馬としての価値を考慮しても、
海外G1のタイトルだけでは不十分。
国内の根幹距離G1は勝っておかなければならないタイトルなはず。
一時期は良血のキングカメハメハ産駒ということと、
戦歴が似通っており、しまいにはキャラクターまで被っていた(?)と言われる
トゥザグローリーもG1勝ちは悲願のはずです。
重賞5勝のうちG2は3勝とG1を勝つ資格は十分にあります。
岩田騎手を確保した事からも、オルフェーヴルがいないこのレースは落とせません。
そしてM・デムーロ騎手とは初コンビのエイシンフラッシュも巻き返しを狙います。
昨年の有馬記念以降、目立った活躍は出来ていませんが、
上位争いの中には常に入り続ける堅実さは現役屈指。
また乗り役のM・デムーロ騎手はイタリア人ですが、親日家。
レースに勝てば、松永幹夫騎手のような振る舞いが許されるとあらば、
彼の性格を考えればやりたいはず。
日本人以上に天皇の権威を知る外国人ならばデムーロ騎手だけでなく、
メンディザバル騎手・スミヨン騎手にも注意が必要でしょう。
世界でも屈指の国家元首に敬礼が出来るチャンスはなかなかあるものではありません。
またオルフェーヴルで凱旋門賞2着になったスミヨン騎手。
今回のコンビはオルフェーヴルと同じ池江厩舎のトーセンジョーダン。
トーセンジョーダンの母系は社台の歴史を支えてきた名門。
相次ぐトラブルで順調には使えませんでしたが、
種牡馬的な価値を考えればこの馬も非サンデーサイレンスの血統。
将来的な事も考え、足元に不安があるのなら、
無理はさせないのではないでしょうか。
少々割引は必要でしょう。
それに割引が必要なのは、カレンブラックヒルも同様です。
NHKマイルC・毎日王冠と常識を覆す勝ち方をしてきましたが、
果たして府中2000mはどうでしょうか。
枠順による有利不利もある為、外枠に入る可能性を考えれば、
早い段階で◎を打つのは危険かもしれません。
しかし、海外遠征も視野に入っているのであれば、
その実力は既に古馬を凌ぐものと判断できます。
いずれにせよ注意が必要でしょう。
また、同じ3歳のフェノーメノも府中は得意コース。
セントライト記念で右回りも克服し、勇躍。
天皇賞への参戦は春からの既定路線。
天下のサンデーRが「勝てる」と踏んで使ってくるわけですから、
当然、馬券購入対象馬でしょう。
想定馬を見る限り、レース展開はシルポートが逃げを打ち、
番手にカレンブラックヒルがつく流れでしょう。
他にも前目に付けておきたい馬がたくさんいますから、
枠順にもよりますが、昨年のような早い流れになることも考えられます。
更に雨も気になるところで天覧競馬という要素も合わせて考えると
不確定要素が多いレースですが、安定して買える馬は下記の馬だと考えます。
まずは・・・
___SILVER___
無冠の帝王・ダークシャドウでしょう。
昨年の2着馬でドバイ遠征した日本馬の中で最も期待値の高い馬でしたが、
レース前の花火に驚いて実力を発揮できないまま帰国。
その影響が心配されていましたが、札幌記念ではフミノイマージンの2着。
札幌記念は洋芝・小回り適性に疑問符がついていましたから、
そんな中での2着はかなり善戦したと評価できます。
天皇賞秋と相性のいい札幌記念からの直行は素直に評価すべきですし、
順番・格・将来性・人間性を考えても乗り役の福永騎手はここで勝って
「絵になる男」としてファンにも認めてもらう必要があるでしょう。
私が心配する事ではありませんが、
彼女にも「出来る男」アピールをするには絶好の舞台ともいえます。
はっきり言って、チャンスです。
そして「絵になる男」だけで言えば、ジャガーメイルに乗る石橋脩騎手は
今の競馬会きっての色男。
そのイケメンっぷりは「西の浜中・東の石橋脩」と個人的に思っていますが、
春の天皇賞を度胸ある騎乗でビートブラックを勝たせ、
大金星を上げた事実は記憶にもまだ新しいですね。
春は逃げて勝利。
秋はジャガーメイルで追い込んで勝利。
三連単で高配当を狙う方は抑えないといけないコンビだと思います。
そして、もう一人の「絵になる男」をチョイスするなら、
柴田善臣騎手のナカヤマナイトも要注意です。
これまで左回りで7戦。うち、馬券圏内は5回。
震災の影響で府中で行われた皐月賞は5着、
ダービーでもハナ差4着ですから、左回りは絶好舞台。
ひと夏越えて強くなった今回こそ狙い目。
強い世代に挟まれ、オルフェーヴルだけが目立つ現4歳ですが、
世代交代を掲げるなら3歳馬の前に出番があってしかるべき1頭。
確定的な馬が居ない為、
自分の競馬に徹することができるナカヤマナイトにとっては
この天皇賞のメンバー構成は願ってもない状況。
乗り役もG1で7勝をあげており、
そのうちの6勝が左回りの柴田善臣騎手は穴候補の筆頭。
98年、オフサイドトラップで制した時に飛び出した名言
「笑いが止まらない」の再現があるかに注目です。
天覧競馬と言うことで、
必要以上に考える事、悩むことが多くなりそうな今年の天皇賞・秋。
いつも通り予想すれば、大丈夫・・・と思っても、
7年前の天覧競馬の時は馬単4万7000円。
三連単で120万馬券が飛び出しているので、一筋縄でいかないこともたしか。
確実に言えることは「絵になる男」が勝つかどうかが
一つの馬券攻略のヒントになるかもしれません。