2013-05-16
天才少女、初めての敗北
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<span class="b">2003年12月20日、水道橋WINSに向かう車内で読んでいた<br />
サンスポの競馬欄に、私にとって嬉しい配合の新馬の馬柱を発見しました。</span>
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その馬柱には、<br />
父・サンデーサイレンス、母ダンシングキイ。<br />
<span class="red big-s b">ダンスインザムード</span>と名付けられた牝馬の名前が。
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<span class="b">「ちゃんとダンスってつく名前は久しぶりだな・・・。」</span>
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競馬を始めた頃に活躍していたダンスパートナーの妹で、<br />
菊花賞を制したダンスインザダークの妹にもあたる良血馬。
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彼女達の母<span class="b">ダンシングキイ</span>はエアダブリン(父・トニービン)も輩出しており、<br />
社台グループの隆盛と、サンデーサイレンスの全盛期を支えた1頭でした。
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92年生まれのダンスパートナー、93年生まれのダンスインザダーク。<br />
共に、クラシックを制した名馬ですが、<br />
94年のキングフラダンス以降、00年のダンシングオンまで<br />
なかなかこれといった活躍馬が出ていませんでした。
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ダンシングキイの仔はほとんどダンス関連の名前がついていて、<br />
ずっと注目していたんですが、<br />
<span class="b">ダンスインザダーク以降、なかなか重賞に手が届く馬はいませんでした。</span>
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エアギャングスターというOP勝ちの馬はいたのですが、<br />
名前に「ダンス」の要素が無く、応援にも身が入りませんでした。
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<span class="red b">そんな私の中で注目度が下がっていた中で現れたのが、<br />
ダンスインザムードでした。</span>
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新聞を見ても圧倒的な人気でしたが、<br />
水道橋のWINSに到着してすぐにダンスインザムードの<br />
応援馬券を買ってレースを観戦。
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ペリエ騎手の手綱に導かれて、スタートから楽な手ごたえで先手を奪い、<br />
あれよあれよと言う間に直線に、他馬が懸命にスパートする中、<br />
ペリエ騎手は微動だにせず、ダンスインザムードは後続を引き離し、<br />
<span class="b">気付けば6馬身差で優勝。</span>
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その新馬戦には後に阪神牝馬Sを勝つジョリーダンスや<br />
朝日杯JF勝ち馬のアルフレードの母・プリンセスカメリアなどが出走しており、<br />
決してレベルが低いわけではありませんでした。
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<span class="red big-s b">「強い」</span>
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誰にでもわかるその完璧な勝利は、<br />
次走の若竹賞でも当時、ケガから復帰直後の岡部騎手を乗せて勝利。
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続く初重賞挑戦となるフラワーCでは武豊騎手に手綱が変わり、<br />
<span class="b">単勝1.2倍の圧倒的な人気に。</span><br />
後に重賞を勝つヤマニンアラバスタやメイショウオスカルらを振り切り優勝。
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<span class="b">優秀な姉兄達に劣らない戦績を刻むダンスインザムードばかり追いかけていました。</span>
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馬券的な思い出深さで言えば、桜花賞で、<br />
ダンスインザムードを頭にスイープトウショウとアズマサンダースの<br />
馬単2点勝負をして、4500円くらいの配当を得た事です。
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その時はテレビで見ていたんですが、<br />
ディープインパクトの「世界のホースマンよ見てくれ」の実況でお馴染みの<br />
馬場鉄志アナウンサーが、ダンスインザムードの事を、<br />
<span class="red b">「天才少女」</span>と呼んでいたのが印象的でした。
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<span class="b">桜花賞まで4戦4勝。無敗。桜花賞も危なげない内容で、まさに完勝。</span>
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この時私は<span class="b">「牝馬三冠は堅いな・・・」</span>と勝手に盛り上がっていました。
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牝馬には過酷な2400mのオークスも全く問題ないように思えていたのも事実です。
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姉・ダンスパートナーはオークス馬で、兄・ダンスインザダークは<br />
3000mの菊花賞を制していて、ダービーも2着。
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父親違いのエアダブリンは2400mの青葉賞を筆頭に3600mのステイヤーズSと<br />
3200mのダイヤモンドS、ナリタブライアンのダービー2着のおまけつき。
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血統的に見れば、2400mは問題なく、<br />
ライバルと言われたスイープトウショウやダイワエルシエーロよりも<br />
圧倒的に頼もしく見えました。
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<span class="red b">そんなオークスで、ダンスインザムードは単勝1.4倍。</span>
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もう私の中で絶対的な信頼しかありません。
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そのダンスインザムードのオークスは、<br />
当時、お付き合いしていた女性の誕生日近くで、<br />
<span class="b">「ダンスインザムードの単勝に突っ込んで、<br />
プレゼントをアップグレードしよう」</span><br />
と、若気の至りで決意。
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単勝1.4倍でしたから、本来のプレゼントに「+α」しようとしたわけです。
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桜花賞で勝負付けがすんでいる馬ばかりでしたから、勝ったも同然。<br />
友達と余裕でレースを見ていましたが、<br />
軽快なペースで逃げるダイワエルシエーロに<br />
好位置で様子を伺うダンスインザムード。
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「2400mのレース。ダイワの母はロンドンブリッジ。もつわけない」
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少々不安を覚えたのは事実ですが、<br />
ロンドンブリッジは桜花賞2着で、オークスでは10着。<br />
勝ったレースも1400mまでの馬でしたから、<br />
長距離に実績のある血統のダンスインザムードの敵ではないと見ていましたが、<br />
<span class="red b">直線でもダイワエルシエーロの手ごたえは衰えず、そのままゴールイン。<br />
ダンスインザムードは直線半ばで力尽き4着。</span>
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<span class="b big-s">もう呆然もいいところ。</span>
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<span class="red b">プレゼント代を失くした事よりも<br />
ダンスインザムードが負けた事の方がショックでした。</span><br />
(これは怒られそうですね)
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もちろんそのオークスから間もなくフラれたことは言うまでもありませんし、<br />
ダンスインザムードの活躍もここでは改めて書く必要もないでしょう。
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馬券的には良い思いもしましたし、落ち込んだ時もありましたが、<br />
<span class="b">今でも、競走馬としてだけでなく母としてのダンスインザムードには<br />
めちゃくちゃ期待しています。</span>
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<span class="red b">そのダンスインザムードが初めて負けたオークスは<br />
私にとって、思い出深いレースの一つです。</span>
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このコラムを書いた予想家
江戸川乱舞
競馬好きな平凡サラリーマンから、「逆走競馬予想」を引っ提げて競馬評論家の仲間入り。
また競馬予想だけでなくコラムニストとしても活動中で、
競馬スピリッツ上で「競馬はロマン」を地で行くコラムを掲載中!
予想スタンスはまさに常識から対極への「逆走」。
「勝つ馬」ではなく「負ける馬」から選んでいき、最後に残った馬をまとめ買い。
「全通り買えば当たる」が持論の逆走競馬コラムニスト。 得意な予想スタイル:単複・ワイド・三連単 など
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