2013-02-21 ​司馬遼太郎『坂の上の雲』から競馬を読む。

​ <p> 競馬に馴染みのない人に、競馬の楽しさをどう伝えればいいか。<br /> 最近そればかりを考えていますが、<br /> 歴史が好きな人のためにこんなアプローチがあるかも・・・と、<br /> 最近思ったのがキッカケで今週はこういう方面から、<br /> 競馬の魅力？というか側面みたいなものを伝えていきたいと思います。 </p> <p> <span class="red b big-s">『坂の上の雲』</span>という作品をご存じでしょうか？ </p> <p> <span class="b u">昭和の大作家・司馬遼太郎の代表作『坂の上の雲』で、<br /> 数年前にＮＨＫがスペシャルドラマとして放送した作品です。</span> </p> <p> お恥ずかしい話ですが、<br /> 実は『坂の上の雲』の原作を読んだ事もなければ、<br /> 予備知識もほとんどなく、近所のＴＳＵＴＡＹＡでＤＶＤのジャケットを見て、<br /> 「日露戦争の話か・・・」と思った程度でした。 </p> <p> この『坂の上の雲』の粗筋をざっと言うと、<br /> <span class="b u">明治維新以降、近代国家へと歩み始めた日本が舞台で、<br /> 伊予・松山が生んだ３人の偉人を中心に物語が始まります。</span> </p> <p> 俳句・短歌の中興の祖・正岡子規と、<br /> その親友で後に参謀として日本海海戦の勝利に多大な貢献する秋山真之、<br /> そしてその兄で日本騎兵の祖となる秋山好古。 </p> <p> 彼らを通じ、近代国家とは何か、日本人の精神が西洋列強にどこまで通じるのかを<br /> 問うている作品ではありますが、<span class="b">私のような競馬好きが反応したのは、<br /> 日本騎兵の祖・秋山好古の話になったところでした。</span><br /> <span class="red b">騎兵とは馬に乗って、戦争を行う兵隊の事だったからです。</span> </p> <p> 秋山好古は日露戦争以前にフランスで騎兵を学び、<br /> 帰国後は陸軍の騎兵学校長となり、日本の騎兵の育成に励みます。<br /> そしてその育成した騎兵団で、当時世界最強と言われたコサック騎兵を破り、<br /> 後に「日本騎兵の父」と呼ばれる存在になります。 </p> <p> しかし当時の日本は戦争には勝ったものの、<br /> 日清・日露戦争で陸軍の軍馬の多くが戦場の環境に適応できず、<br /> 疲弊して倒れる事態に見舞われており、日本の軍馬が諸外国より<br /> 著しく劣っていることが明らかになった経緯もあり、<br /> 内閣総理大臣直属の馬政局が設置され、官営牧場の整備や、<br /> <span class="b u">優秀な馬の輸入、また馬需要拡大のための競馬の振興も積極的に行います。</span> </p> <p> これが「日本近代競馬150年」のどの部分かと言うと、幕末に日本で初めて<br /> 横浜で居留外国人によって発足した横浜レースクラブから40年ほど経った頃の話です。 </p> <p> 日本の（いわゆる我々が知っている）競馬は<br /> アメリカの第１回ケンタッキーダービーから遅れる事30年。<br /> フランスのパリ大賞典からは40年。<br /> <span class="red b">そして本場のイギリス（エプソム）ダービーからは120年以上も遅れをとっていたわけです。</span> </p> <p> <span class="b u">日露戦争後、三菱財閥が経営する民間最大の小岩井農場が<br /> イギリスから20頭の繁殖牝馬を輸入します。</span> </p> <p> 彼女達は<span class="b">「小岩井農場の基礎輸入牝馬」</span>と呼ばれ、<br /> これらの子孫は今も尚、日本競馬を支えていると言っても過言ではないほど繁栄していて、<br /> 有名どころの牝馬の子孫だけ集めても </p> <p> （ビューチフルドリーマー牝系）<br /> <span class="b">シンザン</span>・<span class="b">タケホープ</span>・<span class="b">ニッポーテイオー</span>・<span class="b">ホエールキャプチャ</span> </p> <p> （フロリースカップ牝系）<br /> <span class="b">ニホンピロウイナー</span>・<span class="b">スペシャルウィーク</span>・<span class="b">メイショウサムソン</span>・<span class="b">ウオッカ</span> </p> <p> （アストニシメント牝系）<br /> <span class="b">ブロケード</span>・<span class="b">メジロマックイーン</span>・<span class="b">オルフェーヴル</span>・<span class="b">ゴールドシップ</span> </p> <p> と、これだけの活躍馬を輩出しています。 </p> <p> 侍が刀を捨て、近代化を進め、植民地にならないよう<br /> 「世界の列強に方を並べる国づくり」をし、<br /> <span class="b">幾多の苦労を経て、世界でも有数の経済大国になった歴史と、</span> </p> <p> 当時の世界から見れば、ほぼ「０（ゼロ）」からの馬づくりに携わった人たちの想いと、<br /> 今の社台グループを中心にした馬産に関わっている人達に<br /> 共通する想いが「世界に負けない馬づくり」であること。<br /> <span class="b">ここ数年でようやく世界有数の競馬大国になった歴史。</span> </p> <p> <span class="red b">重なる所が非常に大きいのではと考えています。</span> </p> <p> 私も多少なりとも競馬に携わる仕事をしている自負があります。<br /> 競馬と言う仕事の端くれの端くれ。私の立っている場所は<br /> 辺境あたりの立ち位置だとは思いますが、<br /> <span class="b">極東の小さな島国から大国の仲間入りをした祖国・日本の偉大な先人のように、<br /> 一つ大きな仕事をしたいと、『坂の上の雲』を見て決意を新たにした次第です。</span> </p>

平凡サラリーマンから、独自の「逆走競馬予想」で競馬評論家に転身した江戸川乱舞。
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