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江戸川乱舞コラム「Alohaな競馬」
2012-07-11 セレクトセールに明るい見通し
<p>今年も日本最大のセリ市であるセレクトセールが終了しました。</p>
<p>大きく話題になったのはディープインパクト産駒ばかり。<br />
中でもトーセンジョーダンの甥・アドマイヤキラメキの2011は、トーセン軍団の島川オーナーが<span class="red">2億5000万円</span>で落札。<br />
皮切りに、ダービー馬・ディープブリランテの全妹も<span class="red">1億4500万円</span>の高価格がついています。</p>
<p>ちなみにディープブリランテの妹を落札したのは、オーストラリアの鉱業王<span class="b">ポール・ファッジ氏</span>という人物。<br />
ディープブリランテを管理する矢作陣営も参加しての争奪戦を制した彼は新聞報道などによると<span class="big-s">「組織にとっても基礎になる牝馬になると思って買った」</span>と話したと言います。</p>
<p>オーストラリアやフランスで牧場を経営しておりオーナーブリーダーとしても活躍中でJRAの馬主資格も取得したばかりのポール・ファッジ氏。<br />
彼の牧場の基礎牝馬として、ディープブリランテの全妹にかける思いも大きいようです。</p>
<p>外国人の馬主と言えば、ドバイのモハメド殿下のダーレージャパンや、「ハナズゴール」でおなじみになったマイケル・タバート氏が思い浮かびますが、ダーレー以外の外国人オーナーブリーダーの参入はなかなか聞かなかったので、最初は誰なのだろうと思っていました。</p>
<p>経済状態の影響からか、個人馬主はどんどん少なくなっています。<br />
ダービーオーナーの自殺などのショッキングな話題を始め、一時期は飛ぶ鳥を落とす勢いだった「フサイチ軍団」の関口オーナーも明るい話題を今は全く聞きません。</p>
<p>こうした時代背景もあるでしょう。馬産地・北海道も、中小零細牧場は苦しい経営を迫られていますし、春には牧場経営者の男性が経営難から一家心中を図ったという悲しいニュースもありました。<br />
ある馬主の方が仰っていましたが、<span class="b">「馬主の活性化が、馬産地の活性化に繋がり、競馬が盛り上がる、競馬が盛り上がれば、今まで以上の多額の税金を競馬会は納める事ができる、競馬は国の税収に多分に貢献している」</span>と。</p>
<p>平成9年に4兆円あった馬券の売り上げは単純計算で4000億円になりますし、儲け過ぎた分は追加税金として計上されるはずです。<br />
その他にも競馬会職員の給料からの源泉税、賞金からの源泉税や預託料などからの消費税、馬購入代の消費税・・・私達に見えるだけでもかなりの税金を納めているわけです。<br />
その税金が上手く国の経済を動かしてくれるといいのですが、現実にはなかなか上手くいきません。</p>
<p>しかし現在冷え込んでいる日本の経済や馬産地の現状を考えれば、こうした<span class="b">外国人馬主の参入は歓迎すべき</span>なのかもしれません。<br />
馬主さんの高齢化も懸念されていますし、少しでも間口を広げて、競馬の世界を競走番組以外にも世界に開放していかなければならない事情があるのではないでしょうか。<br />
もっと競走番組の見直しも、含めて海外から有力オーナーの馬を呼べる環境作りも必要ですし、競馬がより一般的にギャンブルでは無い形で浸透していく努力も必要ではないでしょうか。</p>
<p>ですが明るい材料もあるのではないかと個人的に思っています。<br />
マイケル・タバート氏などを見てもわかるように競馬ゲームから競馬好きになった層がこれからの経済の担い手の中心になる世代というのは、競馬界にとって非常に明るいニュースなのではないでしょうか。<br />
彼等はギャンブルとしての競馬だけでは無く<span class="b">「大衆文化」</span>と捉えている面もあり、それほどまでに90年代〜00年代の競馬ブームは過去のブームとは違う盛り上がり方を見せたのではないでしょうか。元プロ野球選手の佐々木主浩さんや俳優の伊藤英明さんを始め、若い世代の馬主の活躍も増えています。それにどんどん色々な分野の方に競馬に参加してもらえたらと思います。</p>
<p>またサンデーサイレンス産駒の欧州での活躍や、日本で需要の無い種馬がアジアの競馬市場でニーズがあるというのも、明るい材料の一つではないでしょうか。<br />
特にダビルシム(父ハットトリック)やビューティーパーラー(父ディープインパクト)などの欧州での活躍は、馬産地・北海道へ欧州からブリーダーを呼ぶ材料にもなるはずです。<br />
実際にディープブリランテの妹を落札したオーストラリアのポール・ファッジ氏もオーナーブリーダーです。<br />
90年代半ばからから<span class="red">日本で一大旋風を巻き起こしたサンデーサイレンスの血</span>は、徐々に世界へ広がりを見せています。<br />
ダービー馬の全妹が日本の競馬で見られなくなるのは悲しいものがありますが、日本産馬が海外のレースをたくさん走る姿も見てみたいものです。</p>
<p>ディープインパクトが菊花賞を勝った時に<span class="b">「世界のホースマンよ見てくれ!!これが日本近代競馬の結晶だ」</span>と実況した馬場鉄志アナウンサーの名実況は有名でしたが、「父はアメリカ産、母はアイルランド産のどこが日本近代競馬の結晶だ」という声もわずかながら聴こえました。<br />
が、海外から日本の競走馬を買いに来るホースマンが来れば、今まで競馬ゲームだけの楽しむことしか出来ませんでしたが日本土着の血統の馬や、日本では成功しなかったファンを熱くさせた馬の血統が海外で走る姿が見られるのもそう遠い事では無いかもしれません。</p>
<p>メジロマックイーンの血が復活したように、かつて競馬ファンを沸かせた馬の血が、世界のどこかで花開くかもしれませんね。そういった意味では、少し競馬の未来に明るい見通しがついたセレクトセールだったのではないでしょうか。</p>
このコラムを書いた予想家
江戸川乱舞
競馬好きな平凡サラリーマンから、「逆走競馬予想」を引っ提げて競馬評論家の仲間入り。
また競馬予想だけでなくコラムニストとしても活動中で、
競馬スピリッツ上で「競馬はロマン」を地で行くコラムを掲載中!
予想スタンスはまさに常識から対極への「逆走」。
「勝つ馬」ではなく「負ける馬」から選んでいき、最後に残った馬をまとめ買い。
「全通り買えば当たる」が持論の逆走競馬コラムニスト。 得意な予想スタイル:単複・ワイド・三連単 など
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