2016-03-24 ​菜七子フィーバーの影にあるもの

​ とにかく3月に入ってからの競馬界は
「藤田菜七子フィーバー」一色。

ドバイにドゥラメンテが遠征しようが、
ホッコータルマエが3度目の挑戦になろうが、
そんな事はお構いなしに、
「藤田菜七子一色」だ。

江戸川さんのコラムでも毎週のように扱っているし、
グリーンチャンネルですら、
「藤田菜七子騎手が乗る…」と言って、出走馬を紹介している。

所属先の根本調教師は丸山騎手・野中騎手を抱えながら、
藤田菜七子騎手の育成にも着手していて、

しかも地方競馬遠征という逆転の発想で
競馬ファンも地方競馬も藤田菜七子騎手本人も
三方が恩恵を受ける形を持って、騎乗馬を集めている。

その期待に彼女も応えようと必至だし、
どんなに能力の足りない馬に乗っていても、
最後まで重心を低くして、
全体重をかけて馬を前方に押し出している姿には好感が持てる。

他の美浦デビューの新人騎手よりも
いい環境にある事は間違いないから、
とにかく今は早く勝って欲しいの一言だ。

ちなみに今週末どうなるかはまだわからないけれど、
今年デビューした新人騎手は
未だ誰ひとりとして勝利を上げていない。

3月終了時点で誰も勝てなかったら、
おそらく競馬学校始まって以来の珍事ではないだろうか。
珍事というか不名誉な記録だろうか。

「菜七子フィーバー」に隠れて、
実は新人騎手たちはある意味で大変なプレッシャーに晒されている。
誰か一人でも「初勝利」の報を聞きたいものだ。

デムーロやルメール騎手を中心に上位騎手の勝ち星の割合が
かなりのウェートを占めているから、
こういうしわ寄せが新人騎手にも来ているんだろうけど、
今年は「藤田菜七子」という存在感が目立つだけで、
若手騎手不遇の時代を象徴するような状況になっているのが確か。

その藤田菜七子騎手ですら、中央での馬質は悲惨の一言。

3コーナー手前くらいから手応えの怪しくなる馬ばかりで
正直、マスコミも追っかけ甲斐がないような馬ばかり。

そりゃ地方巡業して騎乗経験を積むという選択肢が
いかに有能な判断かがわかる。

ただそれも「藤田菜七子」だから成立しているわけで、
他の若手・新人騎手ではそうはいかないだろう。

もちろん競馬はビジネスだし、
真剣勝負の世界だから勝てる馬に
わざわざ話題作りの為に新人騎手を乗せたりはしないだろうけど、

競馬人気回復の為には
藤田菜七子騎手の活躍は必要不可欠の要素。

多少、下駄を履かせたり、重賞に乗せてあげたりというのも、
目を瞑って受け入れなければならないでしょう。

あの細江さんだって写真集出したりしてたんだし・・・。

先日藤田菜七子騎手の記者会見に
武さんが飛び入り参加した事が話題になりましたが、
いつまでも武さんにおんぶに抱っこでは、
競馬界の未来は明るくないですからね。

今年も競馬学校に女の子が入学してくるようですが、
とにかく競馬ファンの裾野を増やす活動は
未来の日本競馬の為に絶対に欠かせないこと。

「女性騎手」という武器が新たに加わったわけですし、
今世界中で議論になっている「斤量」の件も含めて、
女性騎手を盛り上げていく方針は立てて欲しいですね。

この「菜七子フィーバー」をどんどん積極的に
活用していって欲しいです。

あとは藤田菜七子騎手本人が
プレッシャーに押し潰されないよう、
周りの関係者にフォローをお願いしたいところ。

我々、ファンは馬券を買ったり、
温かい声援を送ることしか出来ないわけですから。

平凡サラリーマンから、独自の「逆走競馬予想」で競馬評論家に転身した江戸川乱舞。
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