話題の競馬トピックに独自の視点で陽気に笑顔で辛口に切り込む! 江戸川乱舞コラム「Alohaな競馬」
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2012-12-05 ​一世一代の名騎乗の思い出。

​ <p> <span class="b">1996年3月1日</span>。<br /> <span class="red b">「競馬学校花の12期生」</span>10名がデビューしました。<br /> </p> <p> <span class="u">JRA史上初となる女性騎手(田村真来・牧原(増沢)由貴子・細江純子)</span>がいたことや、<br /> <span class="u">史上初の双子騎手(柴田大知・未崎)</span>の存在はもちろん話題のタネですが、<br /> もちろん、天才・福永洋一の息子・<span class="b">福永祐一</span>のデビューでしたことも<br /> 忘れてはいけません。<br /> </p> <p> デビュー前からマスコミに多く取り上げられ、<br /> そのレベルの高さからも、将来「競馬界を背負って立つ」と言われていた世代で、<br /> 歴代の競馬学校卒業生の中でも突出して優秀な世代と言われています。<br /> </p> <p> 特に福永祐一騎手は初騎乗初勝利に加え、<br /> 次のレースも勝利する偉業を達成しますし、<br /> <span class="b">多くの「12期生」がデビュー1ヶ月以内に勝利をおさめ、<br /> 5月に細江純子騎手が勝ったのを最後に女性騎手も全員、<br /> 勝ち星を上げることができました。</span><br /> </p> <p> が、同期がどんどん活躍する中、一人、<br /> 勝ちきれずにもがいていた「12期生」がいました。<br /> 競馬とは無縁の一般家庭から、<br /> 競馬界に飛び込んだ<span class="big-s red b">古川吉洋騎手(フルキチ)</span>・当時18歳でした。<br /> </p> <p> 当時から人気薄の馬をよく上位に持ってきている印象はありましたが、<br /> なかなか勝ちきれないレースが続いていました。<br /> </p> <p> このまま勝てないままなんじゃないかと思う事もありましたが、<br /> デビューから3か月たった6月に同期の中ではもっとも遅い初勝利を上げます。<br /> 彼の中にも「ようやく勝てた」という思いがあったはずです。<br /> </p> <p> その初勝利からおよそ1年後、<br /> 1頭の牝馬に出会います。その馬の名前は<span class="big-s red b">アインブライド</span>。<br /> オーナーの冠名と「花嫁」を意味するその馬は、<br /> 古川吉洋騎手騎乗で小倉競馬場でデビューします。<br /> </p> <p> 今はそこまで珍しくありませんが、当時は競馬界に何のコネクションもない所から、<br /> 騎手になっても有力馬に乗るケースはほとんどなく、実力があっても、<br /> 有力馬に新人騎手が乗ることはほとんどなかった記憶があります。<br /> </p> <p> 当時<span class="b u">「フルキチがいい新馬に乗る」</span>と、<br /> 回りが言っていたのをよく覚えています。<br /> 私は中学生になりたてだったこともあり、<br /> 今思えば、アインブライドのことを言っていたのかもしれません。<br /> それほど期待されていた馬だったと記憶しています。<br /> </p> <p> 当時注目されていた新種牡馬・コマンダーインチーフ産駒ということもあり、<br /> デビュー戦2番人気に推されますが、結果は3着。しかし、2戦目ですぐ勝ち上がり、<br /> その勢いで、野路菊Sも制覇し、一気に11月のファンタジーSへ駒を勧めます。<br /> </p> <p> 連勝中という勢いはありますが、<br /> 乗り役が「デビュー2年目の若手」と言うことで、4番人気止まり。<br /> </p> <p> 1番人気は同じく連勝中で、<br /> 牝馬に乗せたら強いと言われた松永幹夫騎手(現調教師)のロンドンブリッジでした。<br /> しかもロンドンブリッジは、<br /> 引退後にオークス馬のダイワエルシエーロや、<br /> 重賞2勝したビッグプラネットを生み、今も名牝の1頭に数えられている程の名馬です。<br /> </p> <p> 対するアインブライドは、自慢の末脚がさく裂せず、見せ場なく終了。<br /> 重賞初挑戦は7着で幕を閉じます。<br /> 結果的にキャリアの浅い古川吉洋騎手としても、<br /> 何もできないままレースが終わってしまい、大舞台を前に、暗雲が立ち込めます。<br /> </p> <p> 「フルキチ、G1で乗り替わりかな。勝った馬も相当強いし。」<br /> 「勝ったロンドンブリッジの乗り手はミッキー(松永幹夫)か、<br /> フルキチじゃ、アインブライドがかわいそうだなぁ」<br /> そんな声が私の周りでも多く聴こえていました。<br /> </p> <p> <span class="b u">G1を前にすると、<br /> 「花の12期生」と呼ばれていようが、優秀な成績を残していようが、<br /> 結果を出さなければ、騎手はいつでも「乗り替わり」を言い渡されます。</span><br /> 私も「フルキチは乗り替わりだろうな、まだ若いし。」と思っていました。<br /> </p> <p> 事実ハイレベルと言われた「花の12期生」も重賞勝ちした騎手はまだ少なく、<br /> デビュー年に和田騎手がステイヤーズSを勝ち上がったのが最初で、<br /> デビュー2連勝で新人賞を獲得した福永騎手ですら、<br /> アインブライドの負けたファンタジーSの2週後にキングヘイローで、<br /> 初めて重賞勝ちを経験しており、G1制覇はまだ誰も経験していませんでした。<br /> </p> <p> 特に初勝利の遅かった古川吉洋騎手が<br /> 重賞どころかG1を勝つと言うのは、想像しがたい状況にありました。<br /> </p> <p> この年の阪神3歳牝馬Sは、絶対的な主役は不在で、<br /> 何が勝ってもおかしくないレースと言われており、「もしかしたら・・・」と、<br /> 個人的に淡い期待を抱いていたのも事実です。<br /> </p> <p> しかし、ファンタジーSを勝ったロンドンブリッジが阪神3歳牝馬Sを回避し、<br /> 1番人気はファンタジーS2着のシンコウノビー。<br /> 絶対的な主役が不在となり、何が勝ってもおかしくないレースに変貌。<br /> 個人的にも<span class="b">「もしかしたら・・・」</span>と、淡い期待を抱いていました。<br /> </p> <p> 乗り役も古川吉洋騎手のままレースに挑むことになり、<br /> 当時の阪神マイルで有利とされた内枠をゲット。<br /> いい枠に入ったことで、チャンスが広がったようにも見えました。<br /> </p> <p> レースも、好スタートを切ったアインブライドは中団の内側で脚を溜めます。<br /> 最高の位置取りをキープし続け、時が来るのを待ちます。<br /> </p> <p> 馬群の後方には同期の福永騎手と高橋亮騎手の乗る馬が位置し、<br /> 馬群は4コーナーに向かうにつれ外に膨れます。 </p><br /> <p> 徐々に詰まる馬群。まさに混戦のレースでした。<br /> 多くの馬が外に膨れる中、インを突く白い帽子が先頭に立ちます。<br /> <span class="b">「フルキチだ!」</span><br /> </p> <p> テレビから流れる実況も「内からアインブライド!」と絶叫。<br /> なかなか勝てなかったフルキチがG1で先頭を走っているではありませんか。<br /> </p> <p> <span class="big-s red b">「古川吉洋、初のG1制覇!」</span>とアナウンサーも実況。<br /> <span class="big-s red b">「フルキチ勝ったぁぁ!」</span>上がる歓声。<br /> </p> <p> 2着に猛烈な勢いで突っ込んできた、同期の高橋亮騎手騎乗のキュンティアと、<br /> ゴール後、馬上でハイタッチを交わす姿に感動したことを今でも覚えています。<br /> </p> <p> 激戦の中を見事なイン突きでG1制覇。<br /> 何のコネもなく、デビュー時最も勝てなかった20歳の青年は<br /> 涙ながらにインタビューで、「バカ騒ぎしたい」と語ります。<br /> <span class="b u">人馬共に初重賞・初G1勝利でこのレースは幕を閉じました。</span><br /> </p> <p> その後アインブライドは初G1制覇で全て燃え尽きたかのように、<br /> 勝てなくなり、99年に引退。<br /> </p> <p> 古川吉洋騎手も重賞どころか、<br /> アインブライドが引退した時期と同じ頃から勝ち星が激減。<br /> 重賞はおろか、レースに乗らない日も珍しくはない状況が続きます。<br /> </p> <p> しかし、近年乗り鞍を徐々に増やし、<br /> 09年には、12年ぶりにピエナビーナスで重賞を制覇し、<br /> 今年5月にはヒットザターゲットで新潟大賞典を制し、<br /> 宝塚記念にも出走を果たします。<br /> </p> <p> <span class="b">現在では、ローカル開催ではなくてはならない存在になっていますが、<br /> アインブライドの勝利だけは未だに語られる<br /> <span class="big-s red">古川吉洋騎手の名騎乗</span>の一つでしょう。</span><br /> </p> <p> しかし、残念ながらアインブライドは02年に急死し、<br /> 残された産駒も目立った成績無く乗馬になってしまいました。<br /> もう2度と、古川吉洋騎手がアインブライドの仔に乗る機会はありません。<br /> </p> <p> 毎年阪神JFの季節がくるたび、アインブライドの事を思い出しますが、<br /> <span class="b u">古川吉洋騎手が活躍すればするほど、<br /> 私はアインブライドの勝ったあの阪神3歳牝馬Sの名騎乗を思い出すのです。</span><br /> </p>

このコラムを書いた予想家

江戸川乱舞
競馬好きな平凡サラリーマンから、「逆走競馬予想」を引っ提げて競馬評論家の仲間入り。

また競馬予想だけでなくコラムニストとしても活動中で、
競馬スピリッツ上で「競馬はロマン」を地で行くコラムを掲載中!

予想スタンスはまさに常識から対極への「逆走」。
「勝つ馬」ではなく「負ける馬」から選んでいき、最後に残った馬をまとめ買い。
「全通り買えば当たる」が持論の逆走競馬コラムニスト。 得意な予想スタイル:単複・ワイド・三連単 など

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