2012-10-31 ​私がいつも気になる騎手。

​ <p> 日本中央競馬会に所属する騎手の中には様々な方が居ます。<br /> よくマスコミに登場して、人気のある騎手もいれば、<br /> 派手ではありませんが、実力があり、固定のファンが居る騎手。 </p> <p> 名馬に跨り、多くの競馬ファンの記憶に残る騎手もいれば、<br /> デビュー以降、なかなか乗り鞍に恵まれず、数年で引退する騎手もいます。 </p> <p> よく目にする競馬新聞などで「<span class="red b">武</span>」とつく名字の人を見ると思います。 </p> <p> 武豊<br /> 武邦彦<br /> 武幸四郎<br /> 武英智<br /> 武宏平・・・など </p> <p> 競馬会でも屈指の名門「武一族」のご歴々。<br /> 武豊は説明不要のスーパースターですが、<br /> 父も名ジョッキー、弟も騎手として活躍中。<br /> 一族にも競馬関係者が多数いる家系です。 </p> <p> <span class="red b">たまに競馬新聞で見かける「武士沢」という名前は記憶にありませんか？</span><br /> 残念ながら、彼は「武一族」ではありません。 </p> <p> 競馬ファンから「ぶっしー」と呼ばれる<br /> <span class="big-s">「武士沢友治（ブシザワトモハル）」騎手です。</span> </p> <p> 競馬学校13期生で、同期と言えば武豊の弟・武幸四郎騎手や<br /> 今年カレンブラックヒルでブレイクした秋山真一郎騎手、<br /> 新潟の直千競馬の申し子・村田一誠騎手など、個性派がズラリ。 </p> <p> デビュー以降、毎年10勝以上勝ち続け、<br /> 2012年10月31日現在、240勝をあげている騎手です。 </p> <p> 決して勝ち鞍は多い方ではありませんが、<br /> <span class="b u">関東では朝から彼の名前を見ない日はないほど、<br /> コンスタントにレースに乗っています。</span> </p> <p> その武士沢騎手に関連して<br /> 毎年、アルゼンチン共和国杯の時期になると、思い出す馬が１頭います。 </p> <p> 武士沢騎手に初めての重賞勝ちを<br /> プレゼントした<span class="b">トウショウナイト</span>という馬のことを。 </p> <p> その日はたしか日曜日。<br /> かなり混戦のレースだったように記憶しています。 </p> <p> 友人たちと府中へ出かけ、競馬論を戦わせ、その時に<br /> 「重賞で武士沢が１番人気？怪しくて買えない」と思い、<br /> 友人たちにもトウショウナイト不要論を声高に唱えていました。 </p> <p> トウショウナイトは武士沢騎手が主戦を務めていましたが、<br /> 重賞では２着が精一杯。<br /> 重賞では勝ちきれない印象がありましたし、<br /> 長距離で実績もありＧ１でも３着に入った<span class="b">アイポッパー</span>が<br /> 僅差の２番人気で追いかける展開。 </p> <p> トップハンデを背負いながらも「２番人気ならオイシイかな」と思いつつ、<br /> 相手はルメールの<span class="b">トウカイトリック</span>、左回りならば、<br /> <span class="b">ルーベンスメモリー</span>はアリだろう・・・<br /> <span class="b">メジロコルセア</span>あたりも・・・などと考えていました。 </p> <p> 「<span class="b u">重賞１番人気で武士沢が勝ちきるイメージがない</span>」<br /> とタカをくくっていた私はトウショウナイトを外した馬券を買います。 </p> <p> レースはよどみなく展開し、最後の直線に入ります。<br /> 馬場の良さそうなところを駆けてくる緑の帽子のトウショウナイトを見て、<br /> 「ヤバイ・・・！」と、思いましたが、<br /> その後ろにアイポッパーと青い帽子が駆けあがっているのが見えていたので、<br /> 馬券を握っていた私は「<span class="b">差せ！差せ！</span>」と大興奮。 </p> <p> <span class="red big-s">しかし、先頭で駆け抜けたのは<br /> 「重賞１番人気で武士沢が勝ちきるイメージがない」と馬券を買わなかった<br /> トウショウナイト。</span> </p> <p> 友人たちは素直にトウショウナイトから馬券を買っていたので、<br /> 私だけが馬券を外している気まずい状態に・・・。<br /> 掲示板に乗っているトウショウナイト以外の馬は全部買っているのに・・・<br /> と後悔しながら、呆然と表彰式を見つめていました。 </p> <p> その後、トウショウナイトは<br /> 重賞でも好走を繰り返しますが、なかなか勝ち鞍には恵まれません。 </p> <p> 私自身もちょくちょく馬券でお世話になっていた事もあり、08年ころには<br /> <span class="b u">だんだん武士沢騎手も私の中で信頼出来る騎手になってきていました。</span> </p> <p> しかし、悲劇は突然訪れます。<br /> 春の天皇賞を目指していたトウショウナイトが調教中、<span class="b">骨折</span>。<br /> その際の転倒により、回復の見込みなしと判断され、<br /> 安楽死の処分が取られました。 </p> <p> そのニュースを知った時、<br /> もう「ぶっしーが重賞を勝つことはないか・・・」と残念な気持ちで<br /> 一杯になりました。 </p> <p> それに当時は徐々に外国人騎手や地方騎手が台頭し、ＪＲＡ生え抜きの騎手は<br /> どんどん乗り鞍が減っている状態が始っていた頃。<br /> <span class="b u">事実、武士沢騎手も「騎手を辞めよう」と考えていたようです。</span> </p> <p> しかし、その事故から数カ月後の<span class="red b">新潟記念</span>。<br /> 新潟記念で16番人気の<span class="b">アルコセニョーラ</span>に騎乗する武士沢騎手の姿がありました。<br /> 前年の福島記念優勝馬で、近走は不振が続いていたアルコセニョーラ。<br /> <span class="b">マイネルキッツ</span>や<span class="b">ダイシングロウ・エリモハリアー</span>など、個性的な馬を相手に<br /> 後方から武士沢騎手の好判断で一気に抜け出し、16番人気の超低評価を覆し、優勝。 </p> <p> <span class="big-s">武士沢騎手は06年トウショウナイト以来の重賞制覇、<br /> 配当は馬単４万円超、三連単では１００万馬券を越える<br /> 大波乱の主役となりました。</span> </p> <p> 「重賞１番人気で武士沢が勝ちきるイメージがない」と豪語していた私ですが、<br /> まさか16番人気の馬に乗って勝つとも思っておらず、馬券も当然ハズレ。 </p> <p> 「忘れた頃にやってくる穴騎手」と私も思っていますが、<br /> 2011年10月16日には２番人気・８番人気・３番人気・11番人気の馬で<br /> １日４勝を挙げる活躍をし、<br /> 先日の10月13日にも８番人気・８番人気・４番人気の馬で<br /> １日３勝を挙げる活躍を見せ、<span class="red big-s">関東ではトップクラスの穴騎手</span>と認めている人も<br /> 多いのではないでしょうか。 </p> <p> 圧倒的な１番人気の馬を圏外に飛ばしたと思えば、<br /> 今年のフローラＳでは、18番人気の<span class="b">ダイワデッセー</span>を３着に持ってきて、<br /> オークス出走までこぎつけたり・・・<br /> なかなか買い時の分からない騎手ではありますが、それもまた、<br /> 穴騎手・ぶっしーの魅力。 </p> <p> 土日はまず武士沢騎手の名前を探してしまいます。 </p> <p> 未だに私が穴馬でお世話になっている騎手だからこそ、<br /> １番人気で鮮やかに勝ちきった私にとってはほろ苦い<br /> トウショウナイトのアルゼンチン共和国杯を思い出すのかもしれません。 </p>

平凡サラリーマンから、独自の「逆走競馬予想」で競馬評論家に転身した江戸川乱舞。
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