話題の競馬トピックに独自の視点で陽気に笑顔で辛口に切り込む! 江戸川乱舞コラム「Alohaな競馬」
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2014-11-06 ​競馬は無常

つくづく競馬は無常だと思う。

オーストラリアの競馬の祭典・・・
いや、競馬界だけの祭典ではないですね。

以前も書きましたが、
オーストラリアの人にとってメルボルンカップは
1861年に創設されて以来、
祝日になるほど大事行事でもあります。


1861年といえば、アメリカでは南北戦争をやっていたり、
日本だと丁度、幕末だ、維新だの真っ只中。

メルボルンカップは日本の近代史と同じくらい歴史と伝統がある
オーストラリアの行事なわけです。


アドマイヤラクティその大事なレースの
前哨戦・コーフィールドカップ(G1)で圧勝。

外々を回らされながら、一気に追込み
優勝するという鮮烈な内容でした。


本番のメルボルンカップでも1番人気に支持されましたが、
レース後、馬房に戻ってきて、そのまま倒れ込み死亡。


メルボルンカップのレース中も早めに先団にとりついたと思ったら、
不自然なまでの失速だったので「おかしい」とは思ったのですが、
まさかこんな悲しい結末になるとは思っても見ませんでした。


一時期は数々の名馬を所有してきたアドマイヤ軍団ですが、
最近はもう一つ重賞では元気がありませんね。

しかも今回のアドマイヤラクティ期待されていたアドマイヤコスモス・・・
有力馬に続々不幸が続いています。




海外遠征しその地で亡くなるという悲劇はホクトベガを思い出しますが、
競馬は無常と私が最初に言ったのはここから先の話。


海外の地で亡くなったホクトベガの生産牧場である酒井牧場は
知る人ぞ知る名牝・マックスビューティの生産牧場。

そのマックスビューティの血を引くココロノアイが2歳重賞・アルテミスSを勝ち、
8年ぶりとなる重賞制覇を酒井牧場にもたらしました。

そして日曜の天皇賞・秋ではレース中に故障を発生した
アスカクリチャンがそのまま引退し、種牡馬入りすることに。

優勝劣敗は競馬の常ですが、命がけの駆け引きを
毎日行っているのが競馬だと改めて痛感させられました。

レース中に異変が起こってそのまま無事なように見えても、
アドマイヤラクティのように命が潰えることもあれば、

アスカクリチャンのように競走能力は無くしても、
種牡馬としての活躍が期待されれば、命を長らえることができます。


しかし種牡馬入りしても、生命が保証される訳ではありません。

ここにもまた無常を感じるのですが、これからアスカクリチャンは
種の保存をかけた生存競争が始まります。

こちらもまたレース以上に厳しい戦いかもしれません。

酒井牧場が生んだ名牝マックスビューティは何頭も仔を産んでいますが、
種牡馬になったマックスウィンザーを始めとする産駒は
軒並み用途変更の憂き目を見ていますし、

唯一生まれた牝馬もマックスジョリーが早くに亡くなり、
牝系の存続ですら危ぶまれていました。

そんな中で登場したのがココロノアイ。
東京1600mという実力が試されるコースで
並み居る素質馬を相手に完勝。

ホクトベガの最後のレースに騎乗した横山典騎手も
「酒井牧場の馬で重賞を勝てて良かった」と語ったのも印象的。
今後の活躍に期待したいですね。

前にも書いたようにアスカクリチャンは種牡馬入りすることになり、
私は今、その血統表を眺めています。

ミスタープロスペクター、ノーザンダンサーは入っていますが、
国内で飽和状態にあるサンデーサイレンスの血が入っていないのが
種牡馬入りの決め手でしょう、血統もダート向きだけに生産者に
重宝されるかもしれません。


メルボルンカップで亡くなったアドマイヤラクティは
ノーザンFで生まれ3360万の高値で取引されましたが、
アスカクリチャンは新冠の生産馬で
210万円とかなり安い値で取引されました。


しかし無事是名馬とはよく言ったもので、血統や生まれは関係なく、
とにかく無事なことが大前提なわけです。


その無事な馬の中で活躍した馬、
価値のある馬だけが生き残るという過酷な世界。

アドマイヤラクティは海の向こうで残念なことになってしまい、
ココロノアイやアスカクリチャンは自身の物語を繋げました。


何度も言いますが、優勝劣敗は競馬の常。
その厳しさが熱いドラマを生み、ロマンと呼ばれる由縁です。


アドマイヤラクティの悲劇はこれからも語り継がれていくでしょう。
少なくとも私は、この馬の事を忘れないと思います。


競馬と言う無常とは切り離せない過酷な環境の中で
私はこれからもこういうドラマを何度も見守っていくことになるでしょう。


今は隆盛を誇るサンデーサイレンスやディープインパクトも
20年後どうなっているでしょうか?

かつてパーソロンやプリンスリーギフト系が国内で
隆盛を極めたのも20年ほど前の話。


今では血統表のメールラインで見かける機会も少なくなりました。

ふと目の前にあるアスカクリチャンやココロノアイの血統表を見ながら無常観に浸っています。

このコラムを書いた予想家

江戸川乱舞
競馬好きな平凡サラリーマンから、「逆走競馬予想」を引っ提げて競馬評論家の仲間入り。

また競馬予想だけでなくコラムニストとしても活動中で、
競馬スピリッツ上で「競馬はロマン」を地で行くコラムを掲載中!

予想スタンスはまさに常識から対極への「逆走」。
「勝つ馬」ではなく「負ける馬」から選んでいき、最後に残った馬をまとめ買い。
「全通り買えば当たる」が持論の逆走競馬コラムニスト。 得意な予想スタイル:単複・ワイド・三連単 など

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平凡サラリーマンから、独自の「逆走競馬予想」で競馬評論家に転身した江戸川乱舞。
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