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江戸川乱舞コラム「Alohaな競馬」
2012-08-22 サンデーサイレンス産駒、中央競馬から姿消す
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先週の札幌記念はいろいろと話題になったことがありますが、<br />
その中でも<span class="b u">「アクシオンの引退」</span>というニュースは<br />
<span class="b red">「壮大な物語の一つの終幕」</span>を飾ったと言っても過言ではないでしょう。<br />
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数々の記録を打ち立てた名種牡馬サンデーサイレンス最後の現役馬アクシオン。<br />
彼の引退レースとなった札幌記念は<span class="u">奇しくも10回目の偉大な父の命日</span>でした。<br />
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1994年夏から2012年夏。<br />
その18年間の歴史はとても一言では語りつくせません。<br />
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1994年と言えばあのナリタブライアンがクラシック三冠を達成し、<br />
ヒシアマゾンなどの外国産馬が素晴らしい活躍を見せ始め、<br />
ゲームやマンガなどのサブカルチャーの面からも競馬に注目が集まっていた年でした。<br />
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世間的にはオウム真理教による松本サリン事件や自民党政権が崩壊し<br />
社会党の村山内閣の発足など、歴史的に大きな出来事があった年であり、<br />
スポーツの面でもイチロー選手の大活躍、<br />
芸能の面では小室哲哉氏のプロデュースした音楽が一大ブームを起こすなど、<br />
まだまだ日本全体にバブル余波の元気があった頃ではありますが、<br />
同時に就職氷河期という言葉が囁かれ始めたのもこの頃で、<br />
そんなに昔のように感じる方も多くはないかもしれません。<br />
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しかし1994年の8月には先のロンドン五輪の水泳で銅メダルを獲得した<br />
現役高校生スイマーの萩野公介選手が誕生したという年でもあり、<br />
言い換えれば、この年に生まれた子供たちは今、<br />
高校三年生に相当する年齢でもあるわけです。<br />
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前置きが長くなってしまいました。<br />
先週のこのコラムでも取り上げたサンデーサイレンスの話題ですが、<br />
今週は<span class="big-s">違った角度から</span>取り上げてみたいと思います。<br />
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今やサンデーサイレンスの「孫」や「ひ孫」が多く走る時代となっていますが、<br />
<span class="b red">サンデーサイレンスという存在がいなければ、</span><br />
直仔のディープインパクトはもちろん、<br />
ステイゴールドやスペシャルウィークも当然ながら存在するはずがありませんし、<br />
牝馬三冠制覇の期待がかかるジェンティルドンナやオルフェーヴル、<br />
ブエナビスタの存在すらありません。<br />
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また現在、「サンデーサイレンスの孫」と呼ばれる世代の馬が<br />
多数走っていますが、1つのレースの出走馬全てにサンデーサイレンスの血が<br />
入っているというケースは決して珍しいことではありませんし、<br />
昨年のダービーは全て<span class="b">「サンデーサイレンスの血を持った馬」</span>ばかりでした。<br />
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そのサンデーサイレンスの血の勢いの凄さは、2000年代になると<br />
社台グループ以外の名門牧場にも波及していきました。<br />
サンデーサイレンスの血は他の70年代・80年代の日本競馬を支えてきた<br />
在来血統をどんどん淘汰していきます。<br />
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名門牧場ですら、自前のファミリーラインの馬やお抱えの種牡馬の仔では<br />
馬が売れなくなる事態にまで発展していきます。<br />
これは経済状況も大きく影響していますが、競馬ファンにとっては<br />
「メジロベイリー」という存在は最もメジャーな例ではないでしょうか。<br />
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2000年の朝日杯3歳Sでタガノテイオーを退け、G1制覇したメジロベイリー。<br />
天皇賞馬・メジロブライトの弟で、生粋の「メジロ血統」だと思っていたら、<br />
まさかのサンデーサイレンス産駒。<br />
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<span class="u">「サンデーの血は名門牧場まで喰ってしまうのか」</span>と個人的に思ったりもしました。<br />
それに非社台系のオーナーブリーダーも試行錯誤を繰り返しますが、<br />
散発的な活躍馬を出すばかりで、<br />
とてもサンデーサイレンスに対抗できる(勢いを止められる)馬は<br />
現れないまま18年の歳月が過ぎ、非社台系のオーナーブリーダーですら、<br />
主要な活躍馬の大半にサンデーサイレンスの血が入っているような状況になっています。<br />
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またアクシオンを始め、G3級の勝ち鞍ではもちろん種牡馬にはなれませんし、<br />
デルタブルースのように菊花賞に勝ち、<br />
オーストラリア最大のレース・メルボルンCを勝っても種牡馬になれず、<br />
馬術用の馬として余生を送るケースも多いです。<br />
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また先週の札幌記念に2年ぶりに出走したロジユニヴァースもダービー馬ですが、<br />
父のネオユニヴァースは現役、その後継にはアンライバルドやヴィクトワールピサが既におり、<br />
ネオユニヴァースの系統は供給過多になって、<br />
<span class="b red">ダービー馬ですら種牡馬になれないのではないか</span>と懸念されています。<br />
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これは<span class="b u">サンデーサイレンスの血を持つ馬が過剰に生産されているという背景</span>があります。<br />
系統の盛衰は過去にも繰り返されてきたことですし、<br />
対策として余剰のサンデーサイレンス系の馬を海外へ輸出するケースも多くみられます。<br />
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アドマイヤメインが南アフリカへ、アドマイヤドンは韓国へ、<br />
またハットトリックは2011年のフランスの2歳リーディングサイアーにまで上り詰めています。<br />
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日本でサンデーサイレンスの「血の飽和・偏り」が懸念されていますが、<br />
上記以外の種牡馬でも十分、海外で活躍が見込める可能性を秘めています。<br />
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「サンデーサイレンス系」が世界的なブームになれば、<br />
日本はその最大生産地ですから、世界中から日本の馬産地に人を呼ぶ事ができます。<br />
そうなれば<span class="b red">今では想像もつかないほどの盛り上がりを見せるはず</span>です。<br />
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サンデーサイレンス産駒が猛威を振るったこの18年間は<br />
日本競馬にとっても<span class="u">大きな転換期だった</span>と思います。<br />
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不況に強いと言われていた競馬業界も年々売り上げは下がり続け、<br />
地方競馬は続々廃止に追い込まれています。<br />
売り上げ4兆円を誇ったJRAも今はその当時の売り上げの半分程度。<br />
新規競馬ファンの獲得が急務になっている状況です。<br />
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しかしこの18年間の成果は、日本競馬に明るい兆しを見せているようにも思えます。<br />
今後、日本の競馬人口構成を考えた時、<br />
サンデーサイレンスの活躍した時期に競馬を始めた人が最も多くなるはずです。<br />
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1994年から始まる競馬界の盛り上がりを日本競馬が再び見せられるかどうかは<br />
<span class="b u">「サンデーサイレンスの仔供達」に魅了された人々がカギを握っている</span>のではないでしょうか。<br />
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アクシオンの引退は一つの壮大な物語の終幕であったかもしれませんが、<br />
それはあくまでも「序章の終幕」であったと信じたいと思っています。<br />
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このコラムを書いた予想家
江戸川乱舞
競馬好きな平凡サラリーマンから、「逆走競馬予想」を引っ提げて競馬評論家の仲間入り。
また競馬予想だけでなくコラムニストとしても活動中で、
競馬スピリッツ上で「競馬はロマン」を地で行くコラムを掲載中!
予想スタンスはまさに常識から対極への「逆走」。
「勝つ馬」ではなく「負ける馬」から選んでいき、最後に残った馬をまとめ買い。
「全通り買えば当たる」が持論の逆走競馬コラムニスト。 得意な予想スタイル:単複・ワイド・三連単 など
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